視覚による3DVR(3次元バーチャルリアリティー)と指先に与えた振動を用いた、触覚による新たなリハビリテーションコンテンツ開発の基礎データを研究した。まず、振動を与えて疑似的な運動感覚を起こさせる現象である、ハプティックイリュージョン現象に関する高齢者と若年者間での感じ方や正確性を比較するため、ハプティックイリュージョン発生装置を製作して比較した。結果、高齢者は若年者に比較し、振動周波数で40Hz、80Hz、160Hzで有意に正解率が低く、120Hzでは差が生じなかった。また、振動強度での比較では、低強度から高強度まで一貫した特徴が無く、全体的に高齢者の方が正解率が低かった。運動方向が全く分からないと答えた不明率では差が無かった。軸方向による比較では、高齢者は右方向、下方向で有意に正解率が低い差が生じた。この結果は2021年9月の日本体力医学会(バーチャルカンファレンス、三重県)にて報告した。 加えて3D VR空間上の指先、足先の運動の正確性の若年者との相違を比較するため、3DVRのアプリケーション開発キットを用いて計測システムを製作した。3DVRゴーグルを装着して、バーチャル空間上にランダムに設置した数字を指で追うコンテンツとした。空間上の精度評価を光学式三次元動作解析装置と同時に計測し、X軸で±3.48mm、Y軸方向で±11.12mm、Z軸方向で±8.99mmの精度を有する者を確認した。計測機器を用いて反応時間、正確性を若年者、高齢者間で比較する計測の準備は完了したが、2021年1月からの被験者募集がCOVID-19による影響で、密室である計測室の使用が研究機関中に閉鎖され、計測が不可能であった。
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