| 研究実績の概要 |
この研究では、東北メディカル・メガバンク機構（Tohoku Medical Megabank Organization (ToMMo)）のリファレンスパネル約2000人分のデータを利用して、苦味受容体の遺伝子多型と、アルコール飲料嗜好性等のアンケート調査データに記載された食習慣との関連性について解析した。苦味受容体TAS2Rは、種々の苦味物質と結合することが証明されており、この受容体の役割は口腔内で苦味物質を検知するばかりでなく、消化管粘膜の上皮細胞を介して苦味物質の摂取量も抑制している可能性も考えられる。ヒト苦味受容体のうちで最も研究が進んでいるTAS2R38には一塩基多型（SNP）による遺伝子多型があり、アミノ酸配列の3箇所の位置で連鎖した変異がみられる (A49P, V262A and I296V)。そのAVIとPAVのアレル頻度は、この研究ではPAV/AVI＝0.57/ 0.43であった。そして、この研究におけるAVI/AVI, AVI/PAV, PAV/PAVハプロタイプの頻度は、それぞれ18.32%、46.95%、33.95%であった（Hardy-Weinberg平衡に合致した）。この解析によって、全被験者のうち16人にminor alleleがあることがわかった。これらのminor alleleを持った被験者を除いて、TAS2R38の三つの遺伝子型AVI/AVI, AVI/PAV, PAV/PAVの違いによる、BMI (Body Mass Index)、アルコール摂取頻度、アブラナ科植物の摂取頻度、喫煙の有無、等の指標について解析した。その結果、アルコール摂取頻度が、三つの遺伝子型の被験者で有意に異なる結果が得られた。
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