研究課題
本研究では、地域住民からなるコホート研究追跡調査から、精神的well-beingの実態を明らかにした。我々が2005年に開始した大規模住民コホートROAD (ベースライン参加者3,040人)では、3、7、10、13年目に追跡調査を実施するとともに、9割以上の参加者について要介護、死亡、転居などの状況の変化を把握している。ROADでは、第4回調査からWHO-5精神的健康状態表の調査を実施している。そこで、well-beingの一つのドメインとしての精神的健康について、WHO-5の問診票を用いて地域住民における実態を解明し、関連因子について検討した。ROADスタディ第4回調査においてWHO-5の問診票に答えた参加者は2,686人(男性838人、女性1,848人)であった。WHO-5の問診票調査の粗点(満点25点)の平均は、総数18.1(標準偏差5.2)、男性18.4(5.1)、女性17.9(5.2)となり、男性の方が高かった(p<0.05)。さらに粗点が13点未満である場合を精神的健康状態が低いと定義したところ、総数の13.5%(男性11.3%、女性14.5%)がこの範疇にあり、有意に女性に多かった(p<0.05)。次に精神的健康(1:低い、0:低くない)を目的変数とし、説明変数に体格指数(Body mass index, kg/m2)、歩行速度(m/s)、最大握力(kg)を選んで性、年齢(歳)、地域(都市、山村、漁村)を調整してロジスティック回帰分析を実施したところ、歩行速度が早いこと、握力が高いことは精神的不健康のリスク低値と有意に関連していた(歩行速度+1m/sec、オッズ比0.23, p<0.001;握力+1kg、オッズ比0.97、p=0.014)。この結果より、精神的健康の維持には身体的健康、特に歩行や筋力などのパフォーマンス機能が影響を及ぼしていることがわかった。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件)
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