研究課題
蛍光食品を用いた非侵襲誤嚥検査法の開発に向けた研究において,平成30年度はまず生体模擬試料(牛肉ファントム)を用いて予備実験を行い,生体内部の蛍光体からの蛍光計測に関する最適条件や蛍光薬品(ICG)を混入させた食品(ICG食品)の作製法などを確立した。その後,ヒトを用いた実験に対する倫理審査委員会の承認を得てヒトでの実験を健常高齢者2名を被験者として,嚥下内視鏡検査を行いながらICG食品を摂取する実験も行った。咽頭内へのICG食品の滞留と蛍光計測との強い相関を得ることができ,蛍光食品を用いた非侵襲誤嚥検査法の原理を検証することができた.平成31年度には,ヒトでの蛍光計測の迅速化を図るため蛍光計測装置の改良とリアルタイムで蛍光強度の時間変化を可視化するためのデータ処理法の開発を行った.しかし,改良した計測装置やデータ処理法を用いて計測を行ったところ,平成30年度での健常高齢者による計測結果を再現することができなかった.改良した装置の性能に問題はなく,光プローブの頸部への接触状態や接触位置の適切性を種々検討したが特に問題は見つからなかった.そのため,立ち返って牛肉ファントムを用いて計測システム全般の見直しを行った.その結果,光プローブの照射・検出ファイバー間距離の最適化や光プローブと対象との接触角度の不安定性などが蛍光検出に影響していたことが分かった.また,光プローブの位置と生体内部の蛍光体の位置の関係が重要なパラメータであることが判明した.令和2年度にはヒトでの計測を追加で行う予定であったが諸般の事情により行うことができなかった.その代替として,ヤギ頭頸部標本および牛肉塊を用いたファントムを対象とした計測を行った.その結果,咽頭内におけるICG食品の滞留量と蛍光強度との関係には線形性があることを確認すると共に,蛍光検出に適した計測プローブの形状を決定した.
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