研究実績の概要 |
<実績> 滋賀県長浜市民を対象とする「ながはまコホート」でフィールドワークを行い、全15日間の調査に参加した1,313人のうち、60歳以上で調査に協力の得られた548人を対象に認知機能に関する神経心理検査を実施し、研究に必要なデータを積み増しした。 認知機能のリスク因子解析では、本年度は皮膚蛍光法で非侵襲的に測定可能な終末糖化産物(AGEs)について解析を進めた。AGEsとは糖化されたタンパク質の総称であり、生体内で生合成されることから、高血糖状態の長期的な暴露を反映すると考えられる。一方、生体内のAGEsは食事にも由来し、食餌中のAGEs量は加熱調理で増加する。AGEsの蓄積は、筋力や筋量、骨密度の低下に加え、認知記のうとも関連す可能性が報告されているが、いずれも小規模な検討でありエビンデンスは不十分である。ながはまコホートの60歳以上高齢者(4,041名)を対象に、皮膚蛍光法で測定したAGEsの蓄積と認知機能との関連を検討した。その結果、年齢や性別、BMI、教育歴、耐糖能異常といった既知のリスク因子の調整後も、AGEsの高値は、長谷川式認知機能スケールで評価した認知機能の低下と有意に関連した。感覚器能との関連解析では、視覚と聴覚とを統合的に処理する視聴覚連合野の機能を評価するダブルフラッシュテストの難易度を調整し、モニターに表示される明滅点の明滅回数と音刺激とをランダムに組み合わせた場合において、より強く認知機能と関連することが認められた。
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