研究課題/領域番号 |
18K18453
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 知久 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (30321607)
|
研究分担者 |
井上 真郷 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70376953)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
キーワード | 超高齢社会 / 生活習慣 / MR画像 / MRスペクトロスコピー / 基底核穿通枝 / 脳神経代謝物 |
研究実績の概要 |
昨年度から本年度にかけて、深部灰白質穿通動脈枝では、7テスラMRI装置を用いて等方0.25mmの高解像度撮像を50-80才の被験者50人で撮像を完了した。描出された深部灰白質穿通動脈枝を同定して、全体の長さや本数などを計測する手法が必要なため、2019年度より早稲田大学・井上真郷教授と共同研究を開始した。 大脳皮質におけるT1値、T2*値やQSM値などの定量的指標についても、若年者から高齢者まで80例以上のデータ収集を終えている。さらに別のアプローチとして、脳実質の定量値を計測するMR指紋法撮像の基礎検討を終了して論文化、さらに加齢に伴う変化を観察してその成果を発表した。これらの結果を大脳皮質にマッピングする手法の研究を進めている。 MRスペクトロスコピー計測において、default mode networkにおいて重要な領域である後部帯状回における脳代謝物マップ計測を若年から高齢の健常者まで80人以上で終了している。脳萎縮を補正した後の代謝産物量の変化からは、加齢に伴い脳神経細胞マーカーのNAAには有意な変化は無いにもかかわらず、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸は増加傾向を示すのに対して、抑制性神経伝達物質であるGABAは減少傾向を示すことが判明した。脳萎縮による機能低下を神経活動の増加と抑制の低下により補っていると考えられる結果であり、論文化を進めている。さらに他の部位におけるグルタミン酸/GABA比など、機能を反映しうる指標の研究を進めている。 これら画像により加齢性変化を客観的に提示して、生活習慣を改善する意欲を形成する画像指標の研究を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基底核穿通動脈枝のMRA撮像を順調に終えて、50-80才の被験者50人で撮像を完了した。さらに解析に関しては、2019年度より早稲田大学・井上真郷教授と共同研究を実施している。 大脳皮質におけるT1値、T2*値やQSM値などの定量的指標についても、若年者から高齢者まで80例以上のデータ収集を終えており、現在解析を進めているところである。さらに別の定量画像アプローチとしてMR指紋法の検討を実施、その成果を論文として発表した。 MRスペクトロスコピー計測において、default mode networkにおいて重要な領域である後部帯状回における脳代謝物マップ計測を若年から高齢の健常者まで100人以上で撮像し、データの質を検証して解析を終了、現在論文化を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19によるデータ収集環境の制限もあり、データ収集をほぼ停止して、データ解析と論文化を中心に研究を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度から登録した共同研究者・井上教授への配分額です。
|