未曾有の超高齢化が進行しつつある我が国において、高齢者の健康寿命の延伸は喫緊の課題に挙げられる。本研究では、高齢者の身体的フレイルにかかわる骨粗鬆症に注目し、新規の予防手段の開発に取り組む。これまで骨粗鬆症に対する様々な候補治療薬が生み出されている一方で、申請者らも独自のアプローチを駆使することで新薬の開発に取り組んできた。本研究では、申請者のこれまでに培った強みであるエピゲノム創薬と食品科学を融合した学際的なアプローチを駆使することで、骨粗鬆症に対する新しい予防薬を開発することを目的とする。 本年度は、Ochdの立体構造情報をもとに候補ポケット(酵素活性部位)を探索し、天然化合物ライブラリー(1.5万種)のドッキング計算・スコアリングによるin silico解析を行った。そして、Ochdの内因性の基質であるαケトグルタル酸とのドッキングスコアよりも優れた結合能を示した14種の化合物を用いて、破骨細胞分化に及ぼす効果を検討した。その結果、破骨細胞分化を顕著に阻害する効果をもつ化合物を3種、促進効果をもつ化合物を1種類同定することに成功した。
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