研究課題/領域番号 |
18K18456
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
権藤 恭之 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40250196)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 健康 / 喪失と補償モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢者を対象とした長期縦断研究の成果を利用し、追加のデータを収集するとともに、加齢は様々な資源の低下が生じるだけでなく同時にその低下を補うプロセスが発達すると考える「喪失と補償モデル」を援用した新たな健康モデルと、評価法を確立を目指すことである。 本年度は、申請者が研究代表である高齢者を対象とした長期縦断調査(SONIC研究Septuagenarians, Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians)の継続と、既に収集されたデータを利用した新たな分析のための準備を行った。①高齢期の「健康」の概念構造の検討、②90歳を対象としたデータを郵送調査で収集し、介護レベルにごとに補助器具の使用の効果について検討した結果、介護度が高いほうが、補助器具の利用の有無が幸福感に与える影響が強いことが示された。このことは、身体的健康の低下を補償するプロセスとしての外的資源利用が超高齢期にも有効であることを示唆するものであり、健康の概念の再構築に関して考慮すべき要因であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、既に収集されたデータの整備と、調査を並行で行った。特に本研究では、89歳以上の地域在住超高齢者の身体、精神の健康状態の実態把握と両者の乖離に関するデータを収集することができた。現在収集総数に関しては集計中であるが、予想以上に多くのデータを集めることができた。また、一部の地区では、調査不参加対象者に関して匿名で要介護度が確認できるため、より人口ベースの実態に即したデータが収集できたと考える。 一方で、データの整備に関して一部遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、データの整備を完成させるとともに、「喪失と補償モデル」を援用した新たな健康モデルの構築と、3000名を上回る郵送調査のデータと、約700名の会場調査に参加した90歳以上の高齢者のデータを利用しをモデル検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
助成金の入金が年度途中だったために予定していた通りに執行できなかった。また、人件費に関して、予定していた人材を雇用することができなかった。台風の影響および自治体との交渉に時間がかかったため、調査の実施予定が遅れたため、データ入力等の委託が次年度に繰り越しになった。
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