奄美群島の名瀬島、徳之島、喜界島の95歳以上の島民の自然排泄後に採取された糞便から細菌ゲノムを精製し得られた塩基配列に関して腸内細菌叢解析を行った。また健康寿命と腸内細菌叢に関する知見も得ることを目的とした。 奄美群島の長寿者43名(98.34±3.00(歳):男3名、女40名)の糞便を採取した。本研究では、それらの糞便から精製した細菌ゲノムの16S rRNA遺伝子配列のV3-V4領域についてQiime2 (ver.2019.7)を用いて腸内細菌叢解析を行った。さらに、43名の長寿者の健康状態を[Group1]経口摂取が可能で歩行が可能、[Group2]摂食状態が経口摂取(自力/介助)で歩行が不能、[Group3]摂食状態が経管栄養で歩行が不能の3グループに分類し、それぞれのグループにおいて構成する腸内細菌叢の特徴について比較した。 Qiime1では、健康状態が悪化するに従い多様性が低下しており、Qiime2での解析においても同様の結果が得られた。Qiime2の解析ではQiime1ではみられなかったSynergistes属、Collinsella属、Streptococcus属、Butyricoccus属、Eubacterium属などが新たにアサインされた。一方、Qiime1解析で健康状態の悪化によって占有率が減少する特徴的な属に加えてQiime2解析ではCollinsella属、Streptococcus属、Butyricoccus属、Eubacterium属、Alistips属などが減少していた。また占有率が上昇する特徴的な属としてChristensenella属、Eggerthella属、Anaerotruncus属、Synergistes属などが上昇を示す属としてアサインされた。なお、Qiime2での解析の方がアサインされる属が増えていることが確認された。
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