研究課題/領域番号 |
18K18458
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石原 明子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (50535739)
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研究分担者 |
石原 哲郎 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 研究教授 (60731437)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症 / 葛藤 / 当事者 / オレンジドア / 紛争解決 / パーソンセンタードケア / 紛争解決学 |
研究実績の概要 |
2018年度は、主に下記の3つを実施した。
1.宮城県で、認知症当事者による当事者のための相談窓口(認知症の当事者が当事者の気持ちを引き出し、対話し、支援する活動)である「オレンジドア」や類似のグループ活動、当事者による当事者に向けた講演活動などを観察調査し、(1)当事者の抱える葛藤、(2)当事者の力を引き出すエンパワーのカギについて参与観察を行った。また、宮城在住の若年性認知症の当事者で日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)のメンバーでもある丹野智文氏へのインタヴュー調査も行った。 2.2018年9月26日に、熊本大学で、認知症当事者、家族、支援者、その他関心のある市民を対象とした研究キックオフシンポジウムとワークショップを行った。研究代表者から、紛争解決学の視点から認知症研究に貢献できることに関するプレゼンテーション、分担研究者から認知症へのパーソンセンタードケアの視点からのアプローチについてプレゼンテーションし、その後、グループに分かれて、認知症をめぐる葛藤に関するグループディスカッションや、認知症者の葛藤事例について対話のロールプレイなどを実施した。紛争解決トレーニングでもよく用いられるロールプレイについては、認知症をめぐる様々な関係者の視点から改めて起こっていることを見つめなおす機会となるという参加者からの意見が得られた。 3.2019年1月に、宮城県で、主に分担研究者を中心として、宮城の「オレンジドア」の活動について、ポジティブ・デビアンス(PD)の視点から検討をするというワークショップを、PDの世界的リーダーであるアービンド・シンハル博士、日本のリーダーである河村洋子博士を招いて実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は、研究代表者が年度の初めから妊娠期間にあり、12月からは産休に入っていたため、研究の進捗は当初の予定より遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、紛争解決学を専門とする研究代表者と、神経内科と精神科の各方面から認知症の臨床・研究を行う分担研究者・連携研究者らが協働して、認知症の本人と周りの人の関係性やコミュニケーションの「葛藤事例」と「工夫事例(成否事例)」を収集する。観察調査は昨年度の調査を継続し、インタヴュー調査は、ア)認知症本人、イ)家族、ウ)医療・ケアワーカー、エ)その他(認知症の方とも 接する店舗等の人、行政職員、その他)に、コミュニケーション上の「葛藤事例」と「工夫事例(成否含め)」についてインタヴューし、事例を収集する。特に当事者がエンパワーされるような葛藤解決のためのキーファクターは何かという視点で研究を行っていく。研究の第1年度と第2年度の成果を論文や学会等で発表も行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、研究代表者が年度の初めから妊娠期間にあり、12月からは産休に入っていたため、研究は元の計画通りには進行できず、遅れが生じた。研究期間を1年間延長することで(延長の申請、承認済み)、全体の研究スケジュールをスローダウンする形で実施していく。
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