研究課題/領域番号 |
18K18458
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石原 明子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (50535739)
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研究分担者 |
石原 哲郎 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 研究教授 (60731437) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2025-03-31
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キーワード | 認知症 / 老い / 紛争解決学 / 和解 / トラウマ / 葛藤 / BPSD |
研究実績の概要 |
認知症のBPSDや周辺症状を、認知症になった人の「症状」とみなすのではなく、認知症になった人とその人に関わる人との間の対人葛藤現象として見直して、認知症との共生社会を支援するための概念整理を行った。特に2023年6月に成立して、2024年1月に施行された認知症基本法の理念や内容について検証し、本研究が認知症基本法の理念に沿った共生社会の実現にどのような貢献をしえるのかを整理した。 認知症や老いに関する集合的トラウマを変容させるための取り組みとしての「認知症カフェ」について、文献調査、先行事例調査、専門家から知見をえる調査(専門家による研修やセミナーへの出席)を行った。また、認知症の人と家族の和解の旅路を支援するためのプログラムを開発して、その試行実験に向けて、フィールドとの調整を行った。具体的には、内戦地等のトラウマケアプログラムとして行われている「人生の川」というアートワークを用いた大切な人との関係性の変化のケアのワークを開発した。 石巻の地域包括ケアの取り組みを事例にして、共生社会のためのケアの町づくりの概念整理や困難点の整理を試みた。石巻の地域包括ケアの取り組みに関する資料を収集し、整理を開始した。ステークホルダーの把握と、彼らとのネットワーキングを行った。 また「コンパッション都市」の概念の紛争解決学の視点からの意義づけについて検討した。終末期ケアと公衆衛生の融合のみならず、紛争解決学の融合の意義についても検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の個人的状況(家族の他界など)によって、進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
認知症基本法のもとで、本研究の成果とその意義を改めて位置づけるための認知症研究者・臨床家による研究会を行う。 遅れていた認知症家族の葛藤経験の調査、臨床者への調査、さらに可能であれば、当事者への葛藤経験の調査を実施する。そのうえで、認知症の当事者、家族、臨床者、社会一般の人たちの葛藤を類型化して、その変容支援を提言する。認知症をめぐる葛藤の変容支援や認知症との和解支援の具体的なプログラムをパイロットスタディ的に実施し、プログラムの精緻化をはかる。 認知症をめぐる葛藤の解決を、人生の終末期における人間関係の和解、老いとの和解、コンパッション都市・ケアを基軸とするまちづくりの推進という広い文脈に位置づけて、概念整理を行い、研究のまとめを行って行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスをはじめとする感染症対策も影響して、予定していた調査が行いにくくなり、調査が遅れた。また研究代表者の出産や介護による調査が遅れた、遅れが生じた調査について、次年度に実施するし、次年度使用額は、具体的には、研究会実施のための謝金、調査旅費、人件費、物品費に使用する。
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