本研究は、ネットワークを介した共同作業が脳の活性化に効果がある事を神経生理学的に解明することを目的とする。具体的には、今後飛躍的に発展する可能性のあるヒューマンインターフェイスの一つである触力覚提示装置を用い、ネットワークを介した遠隔地同士での環境を模擬した共同作業の実験を行う。この時の運動野の活動状態(経頭蓋磁気刺激法)によって評価し、新技術活用が他者とのつながりを強くすることを明らかにする。本研究で高速インターネットや仮想・拡張現実などの技術が認知症予防に有効であることが明らかになれば、元気で働くことのできる高齢者が増加し、支える社会負担の減少により活力ある社会の創出実現へとつながることが期待される。 本研究の目的を達成するために、本年度は以下の研究を行った。前年度にアップグレードした三者で行う事のできる共同行為システムを用いた実験結果より、複数人での運動調整の方において、より運動調整精度が高まることを明らかにした。筋運動の調整方法において、力を入れるよりも抜く調整方法が困難であることを明らかにした。同時に、運動誘発電位によって興奮性の調整が行われていることを明らかにした。今年度は、当初の予定よりも研究が進んだために、6人まで実施できる共同作業システムの開発と運動中にどこを見ているかわかるように計測できる視線検出を統合したシステム構築にも着手した。今後の共同作業の研究発展における見通しが立つ実績を得ることができた。
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