研究課題
我々は消化器癌の早期発見には便中の腫瘍由来DNAを検出することが最適であると考えている。膵癌は消化器癌の中でも年齢が上がるにつれ発生率が増加する全癌腫の中で最も予後不良な癌種である。超高齢化社会である日本でも、その罹患率は増加傾向を示しており、疾患に対する早期発見ツールの開発は癌治療に福音を与える。膵癌を含めた消化器癌や腺癌は術後補助化学療法やアスピリンにより術後再発率が減少する。この事実は、画像上で診断可能となる前の微小癌状態ならば、Chemopreventionを行うことで、ある程度の膵癌・消化器癌の治癒が可能であることを示唆する。本研究では、便中の腫瘍特異的メチル化DNA陽性と微小癌の存在の相関関係を証明し、そのメチル化DNAを指標としたChemopreventionの個別化と標準化を指した先制医療 (Preemptive Medicine) の構築を試みる。本研究にて解析を行う検体は、①消化器癌患者の便検体、②非担癌患者の便検体、を用いている。1414 例の解析は、2種類の保存液(A・B液)を用い行って来ている。先行解析により200例のA液保存2検体およびB液保存2検体にて保存された便検体のPCRリカバリーは有意差を持ってA液がB液よりも高いことが確認された。このA液を用いた便中メチル化スコアは、大腸癌だけでなく膵癌・IPMN、胃癌・食道癌をも有意差を持って検出可能であることが示されている。現在、便検体提供者のフォローアップデータの収集を終え統合解析を行っている。
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