| 研究課題/領域番号 |
18K18465
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| 研究機関 | 久留米大学 |
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研究代表者 |
今村 義臣 久留米大学, 比較文化研究所, 研究員 (50312153)
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| 研究分担者 |
溝口 義人 佐賀大学, 医学部, 准教授 (60467892)
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| 研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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| キーワード | 来世信念 / 高齢者 / 健康 / 脳画像 / 生物学的指標 / 愛着 / 線条体 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は，2009-11年に調査（MMSE，論理記憶，CDR，FAB，宗教観，生活満足度，唾液・血液採取，頭部MRI撮像）に参加した伊万里市黒川町在住の高齢者を主な対象として，来世信念が健康にどのような影響を与えるのかを横断・縦断的に調べることである．特に，愛着の機序が来世信念の脳内基盤として働いている可能性を検討する．過去の調査で施行してきた愛着スタイル尺度に加え，死者との関係を家庭の仏壇を介してみた調査票，および共感性を測る調査票を追加した．認知機能の評価，その他の心理検査はほぼ従来通りである．現地での調査は2019年２月より開始し，2020年３月時点で69名が終了した．だが，それ以降は新型コロナウィルス感染拡大のため調査が全くできなくなった．研究期間を延長した2021年度も結局調査はできなかった．再々延長をした2022年度（５月時点）も再開の見通しはたっていない．
我々の研究グループは，2021年５月～11月に黒川町の高齢者を対象に新型コロナウィルス蔓延におけるストレスの調査を行った（『コロナ禍の心理ストレスが高齢者の2年後のうつ状態，認知機能低下に与える影響（研究代表者・國武 裕）』）．筆者もそれに参加しており，上記の愛着および来世信念に関する質問紙のみ，参加者の一部（49名）に施行した．これらの参加者に対して本研究の主要な測度であるCDR，MRI撮像，あるいは血液採取等はできなかったが，そのデータは本研究の分析の一部に加えたいと考えている．
現在，来世信念とオピオイド系との間の横断・縦断的関係について分析を進めており，またMHPG（ノルアドレナリンの代謝産物）やコルチゾールと脳体積との関連をみた縦断研究は，それぞれ投稿中である．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年３月より新型コロナウィルス感染症拡大のため，調査中断を余儀なくされている．予定では2021年度中に50名ほど（2009-2011年の調査参加者で脳画像を軸に追跡可能な者）を調査するはずであったが，現時点（2022年５月）でも再開の目途がたっていない．
前記のストレスに関する調査では，自宅あるいは公民館での実施に関して地元の高齢者からの承諾が得られた．しかし，脳MRI撮像，採血，および，インタビュの場所の提供を依頼している病院からは，調査再開に関する返事がまだ得られていない．
できれば2022年度中に残りの参加者の調査を行った上，MRI画像の分析を行いたい．参加者数が多いほど分析的には有利と思うからである．さらに，画像が全て揃った時点でないと画像分析の前処理ができないためである．そのために研究期間をもう１年延長した．
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| 今後の研究の推進方策 |
昨年度の方針と同様，調査再開が可能であれば，できる範囲で調査を継続したい．そして調査終了の時期は，画像分析に要する時間を前提に決めることになる．前記の通り，画像が全部揃った時点での発注が必須だからである．ただ，いずれにせよ過去の分を含めた脳MRI画像分析の前処理の外部発注（アラヤ，東京）は今年度中に行う．ただ現況を鑑みると，また本研究は高齢者が対象ということもあり，調査の続行が困難である可能性もある．そこで，今年度の早い段階で，10月を調査終了期限として調査再開の見通しが立たない場合，これまで採取した脳画像のデータ分で前処理を依頼しようと考えている．
2009-2011年調査と2016-2017年調査の間での来世信念と脳画像の縦断的分析に関する結果は現在，論文準備中である．来世信念が弱いほど線条体の体積が保たれているという結果は変わらないが，愛着のスタイル（不安，回避）と脳の活動領域に関する研究が最近発表されており，その知見に加える形で連合学習における線条体の役割，その際の脳化学物質（オキシトシンやドパミン等）の働きを総合的に考察する必要があると判断した．本研究は，そもそも愛着と来世信念の脳内メカニズムにおける類似性を問うものであったにも関わらず，特に愛着の脳内機序についての知識が自身に不足していた．
以上と並行して，オピオイド（βエンドルフィンとdynorphin）と，来世信念，構造的脳画像，生活満足度等の心理尺度，あるいは，認知機能との間の横断・縦断的関係について分析を進めていく．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス蔓延により2020年３月より調査が中断されているため，調査費用および脳画像の解析のための費用が全く使用されていない．また，本研究は，佐賀大学医学部精神科が現在遂行している伊万里市黒川町疫学調査と研究フィールドを共有しており，一部の分析費用（特に生化学的指標）は他の研究費から賄われている部分がある．
本年度は脳MRI画像解析の前処理をアラヤに発注する．一人の調査者に対して過去および今回の調査の複数の画像（２～４程度）に対しての処理を行うので，過去の実績からおおよそ150万円程度になると予想される．なお，これは現時点でのデータ数による概算で，今後の調査により増える可能性はある．残りの予算は主に生化学的指標の分析等に使用する予定である．
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