研究課題/領域番号 |
18K18466
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
森山 葉子 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (10642457)
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研究分担者 |
大夛賀 政昭 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (90619115) [辞退]
松繁 卓哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (70558460)
高橋 秀人 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (80261808)
田宮 菜奈子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20236748)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | サービス・プロフィット・チェーン / 従業員・顧客幸福感 / ポジティブ・マネジメント / Well-being / 高齢者介護 |
研究実績の概要 |
本研究では、介護職員の不足や質のバラつき、それに起因するケアの質の低下を改善すべく、ポジティブ心理学やそれをベースとしたポジティブ・マネジメントの知見を取り入れた介護職員研修を行うことで、介護職員の幸福感が高まり、利用者の幸福感が高まり、ひいては施設・事業者の経営指標も好転する好循環:介護現場に適用し得るサービス・プロフィット・チェーンの課発を目的としている。 初年度より、ポジティブ心理学や幸福学に基づく、「幸福感を高める介護職員研修」のプログラムを検討し、幸福感と職務の関係、ジョブ・クラフティング、モチベーション、レジリエンス、強み、アサーティブなコミュニケーション、Appreciative Inquiry(AI)に関する研修を構築した。これを、サービス・プロフィット・チェーンの「内部サービス品質」向上の一環として、3つの事業者に、2か月おき・全6回の研修を実施し、2年目の年度にすべて終了する予定であったが、新型コロナウィルス感染症拡大予防のため、数度の中断を余儀なくされた後、感染予防に留意した上で継続し、今年度すべての研修を終えた。研修前後の幸福感、ワーク・エンゲージメント、職務満足感等Well-being指標と、職員の属性やチーム、組織に関する調査票による調査も終え、また研修プロジェクト開始前と6回の研修終了後に、職員、利用者、家族のヒアリング調査も終えた。一つの事業者では、研修参加者だけでなく、参加しない職員にも研修プロジェクト前と終了後に調査票およびヒアリング調査を行っており、まず、この量的データから、研修参加者と未参加者の研修プロジェクト前後の幸福感について分析し、ベースラインでの幸福感を調整しても、研修参加者の方が幸福感が高まっているものが有意に多かった。またこれら量的データと質的データを用いて、混合研究法による介護職員の幸福感に関連する要因を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「幸福感を高める介護職員研修」の実施を、新型コロナウィルス感染症拡大予防のため半年以上の中断をし、感染予防を留意した上で再開したが、再度の中止を余儀なくされることもあり、今年度やっと研修をすべて終了した。できる範囲の中で研究を進めてきたが、学会発表や論文執筆にとりかかったところであり、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
3事業者における全6回の研修を終えることができ、量的データからの研修の効果に関する分析や、量的・質的両データから混合研究法により、介護職員の幸福感に関連する要因分析等を進めてきた。次年度は、これらの分析結果に関する学会発表や論文発表を進める。 さらに、利用者や家族のデータも合わせて分析を行い、これらの分析結果を、初年度・2年目に構築した「介護現場に適用し得るサービス・プロフィット・チェ―ン(案)Ver.2」に反映させ、本研究が提示する介護現場に適用し得るサービス・プロフィット・チェーンを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に学会発表や論文発表を検討していたが、新型コロナウィルス感染症拡大予防のため、実施予定の介護職員研修が今年度にずれ込み、分析も当初より遅れたことから発表が難しく、これらの参加費や渡航費について次年度使用額が生じた。次年度は、学会発表や論文発表に使用する予定である。
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