研究課題
2019年度は認知機能が低下しているにもかかわらずボランティア活動のような高次の社会参加活動を行えている高齢者の脳構造を調べ、社会参加活動を可能とする神経基盤を検討した(以後、研究A)。加えて、(以後、研究B)インタビュー調査を行い、そのような高齢者の心理的特徴および社会参加活動に対する動機付けを検討した。研究Aでは、大規模健診参加者から無作為に脳画像検査に参加した高齢者のうち、全般的な認知機能を測定するMoCA得点が24点以下の者を認知機能低下者と定義した。また、社会参加活動の有無は、「地域活動」、「町内会活動」、「地域の世話役」、「ボランティア活動」のうち2つ以上の活動を実施している者を社会参加活動有りと定義した。社会参加活動の有無で脳構造を比較したところ、社会参加活動を有する者では、認知活動を司る嗅内野の容量が有意に大きい傾向が認められ、認知機能を支える神経基盤は保たれていることが示された。研究Bでは、大規模健診参加者のうち、全般的な認知機能および記憶機能が全体平均に比べ1.5標準偏差低い高齢者で、特定のボランティア活動を行っている高齢者を抽出し構造化インタビューを行った。インタビュー内容に対する解析の結果、認知機能が低下しているにもかかわらずボランティア活動を行っている高齢者では、長く活動を行っている者が多く、無理なく楽しんで活動できている者が多いことが分かった。また、他者からサポートを受けるようなことはなく、自身の機能低下と折り合いをつけている傾向が認められた。
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