「フレイル」は、従来では「虚弱」や「老衰」などと表現され、加齢に伴う不可逆的な現象としての印象を有していたが、健常と要介護状態の中間と位置づけられ、改善の見込みが残されている、いわば可逆性の状態であるとされている。フレイルは体重減少・活力低下・活動減少・筋力低下・歩行能力低下のなかで3項目が該当した場合と定義される場合が多く、フレイルの予後として、生活機能障害や要介護状態のリスク、さらには死亡リスクに至るまで様々なリスクを上昇させることが多くの研究で明らかにされてきた。しかし、フレイルから改善するための因子は明らかにされておらず、改善因子について明示できれば、健康寿命延伸のための取り組みをより一層推進することと考えられる。そこで、本研究は、高齢者に対し調査を実施し、フレイルの改善に影響を与える因子や活動スタイルを検討することを目的とした。活動スタイルの評価は、日常生活における身体活動、知的活動、社会活動について評価した。本年度は、前年度から作成している継時データセットを作成し、解析を行った。本研究の様に追跡期間が短い場合、フレイルからの変化に対しては身体活動が関係していることが明らかになった。今後は追跡期間が長くなった場合に、その関係性にどのような変化が生じるのかについて検討していく必要があると考えられる。
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