研究課題/領域番号 |
18K18505
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
伊藤 信博 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90345843)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 四方四季 / 擬人化 / 宇宙観 |
研究実績の概要 |
本研究は御伽草子や内外に所蔵される絵巻、芸能(能・狂言、謡曲)に描かれる地獄や異界に焦点を当て、その言説や絵画表現の分析から、室町後期人の地獄や異界への嗜好を明らかにし、異界表現と一般的に認知される「四方四季」表象が、室町文芸における森羅万象を表現する宇宙観の現れであることを確認することである。 この点に関して「四方四季」表象が季節・方角・天地・時刻なども含めた総合的な表象であることを確認しつつある。そのために、「米と酒とその周辺」(勉誠出版)や「六条葵上物語」(臨川書店)などで、論を展開しつつある(どちらも2020年出版)。 また、アイルランドのチェースタービティライブラリーやフランスのパリにあるフランス国立図書館蔵本の「舞の本」を中心に2019年度は調査し、その結果を四季の表象と宇宙観について焦点を当て、内外の研究者と議論を重ねた。また、購入した奈良絵本貼交屏風二曲一双「善害」を中心に「異本是外坊絵巻」(ホノルル、逸翁美術館、慶應大学など)の比較研究から、「四方四季」の表象について詳細なデータを作った。 残念なことにコロナウイルスの蔓延で、2020年2月および3月に予定したハイデルベルク大学やストラスブール大学でのシンポジウム「写本と版本(17世紀)」が中止になり、本研究に関する発表ができなかった。しかし、その発表を最終年度に椙山女学園大学で歴史文化館で展示会と共に詳細な発表を行う予定である。また、ハイデルベルクやストラスブール大学での集会は延長とし、最終年度に国際研究集会を開催予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルスの蔓延で、2020年2月および3月に予定したハイデルベルク大学やストラスブール大学でのシンポジウム「写本と版本(17世紀)」が中止になり、本研究に関する発表ができなかったことは非常に残念であるが、「釈迦の本地」(八種類)や「四季農耕図」(六種類)、明の影響を考察するための「掲鉢図」(五種類)、「佛母大孔雀明王經」(ギメ美術館図書館)などに描かれる四季感も分析が終わりつつある。さらにHP(http://sugiyamaito.wp.xdomain.jp/)を立ち上げ、データーベース化の準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、上述したように地獄や異界に焦点を当て、その言説や絵画表現の分析から、室町後期人の地獄や異界への嗜好を明らかにし、異界表現と一般的に認知される「四方四季」表象が、室町文芸における森羅万象を表現する宇宙観の現れであることを確認することである。この点において、長野県西光寺が所蔵する「地獄絵」を詳細に分析する予定で、西光寺の許可もいただいている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの蔓延で、2020年2月および3月に予定したハイデルベルク大学やストラスブール大学でのシンポジウム「写本と版本(17世紀)」が延期になり、今年度は使用できなったので、次年度に使用する。
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