研究課題/領域番号 |
18K18507
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西本 希呼 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携講師 (10712416)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 数の認知科学 / 数詞の少ない言語 / 危機言語 / 数えるとは何か / エスノマセマティックス / 多様性と普遍性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、オーストラリアの言語や南米インディアンの言語をはじめとする世界に点在する数詞のない(数詞の少ない)言語の構造や使われ方を中心に観察し、数えるとは何か、我々人間はどうして数えるのかという人間の原点を探る問いを探求することである。また、まだ日本では広く知られていないエスのマセマティックスという領域を言語学的視点から学術研究及び大学教育・学外アウトリーチ活動を通じて広めることも目標としている。 数詞のない(少ない)言語の多くが消滅危機言語ないしすでに消滅した言語ではあるが、これまでの現地調査や文献資料を中心に観察と分析を行い、そこで得られた知見を、すでに資料や研究の豊富にある日本語、中国語、フランス語、ビルマ語、英語などの言語とも比較し、人間の考え方の古今東西の多様性と普遍性についてある程度の結論に至った。 長引くコロナ渦により国内での調査や対面での交流が減り、一部の研究作業は中断しているが、オンライン調査や国内での研究協力者の協力を得て、コロナ渦でできる限りの学術研究を実施した。成果の一部は単著書籍および2022年6月に現地で開催される国際アジア辞書学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長引くコロナ渦により、度重なる行動制限など多くの制約がかかり、コロナ渦でできることを最大限に努力しているが、オンラインの良さもある一方、人間のコミュニケーションの基本は、表情、声、身振り手振りを見て実際に会って対話することであることを、言語学研究者としても痛感した。コロナ渦1年目はオンライン技術を駆使した様々な調査や研究に挑戦したが、実際現地に赴かないとわからないこと、細かな音声や形態の確認はできない。オンラインでの研究会や学会は便利ではあるが、対面学会で得る刺激には劣る。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ渦収束次第、調査資料で確認作業が必要な箇所が多々あるため、トンガ王国、ボリビア多民族国家へ調査を予定している。コロナ渦が長引く場合は引き続きこれまでの調査資料をもとに分析をつづけ、古典日本語、古典英語など古い資料をもとに引き続き研究作業を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦による度重なる行動制限に伴い、研究計画を変更してコロナ渦でもできる学術研究に従事し、予定していた学術調査や対面での学会発表及び謝金バイトを次年度に延期するため。
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