研究実績の概要 |
本研究の最終目的は「名詞的名詞(nN)」と「動詞的名詞(vN)」という名詞区分を前面に押し出した新たな英和辞典を開発することである。動詞的名詞は統語的に名詞が現れるところ(主語、補語、動詞の目的語、前置詞の目的語)にはどこでも現れるが、中でも前置詞の目的語の位置で多用されているので、初年度(H30年度)はまず前置詞の目的語としての動詞的名詞(vN)の用例収集を中心に行い、前置詞ごとの意味的な分類を試みた。その結果、28の前置詞を【進行中系】としてin, out of, on, off, at, under, during、【未来系】としてto, into, for, like, against, from、【過去系】として、for, from, out of, through, 【同時系】としてin, with, without, by、【可能性系】としてwithin, beyond, past, above, below, 【時間差系】としてbehind, ahead of, according to, after, before、【時・条件系】としてon, atがあるという初期区分を行った。そこでは、それぞれの系に属する前置詞間の差異化についても考察を行い、仮説としてまとめた。ただし、現時点では主に辞書やコーパスからの用例収集であるため、それらの表現がどの程度一般的な表現なのかや、名詞的名詞を使ったときのとの意味の差、など、ネイティブインフォーマントへの聞き取り調査をしていく必要がある。 前置詞ofについても動詞的名詞を目的語にとる用法があり、相当数用例は集めて考察をしている段階であるが、ofの用法はほかの前置詞と比べて実に多種・多様・複雑なため、まだ、納得のいく形での整理が行えていない。
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