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2021 年度 実施状況報告書

冠詞と複数形語尾の使い方がわかる英和辞典の開発:名詞的名詞と動詞的名詞を基に

研究課題

研究課題/領域番号 18K18510
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

日木 満  名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (10238280)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2023-03-31
キーワード動詞的名詞 / 名詞的名詞 / 名詞形 / 冠詞 / 辞書
研究実績の概要

1) 本研究の根底にある「名詞的名詞」と「動詞的名詞」の理論づけ関連して、真野(2010) の「行為名詞」(action noun) が「動詞的名詞」と重なるところがあるため、その関連性について考察を行い、相違点を明らかにした。行為名詞も動詞的名詞も解釈に能動と受動が可能になるという点では同じであるが、(1)行為名詞は、名前の通り、動作に関する動詞に関連する名詞に限られているのに対し、動詞的名詞はbe動詞+形容詞を含む状態動詞からの名詞化も含むこと、(2)行為名詞は裸名詞だけでなく、不定冠詞やone's が共起する名詞も含むのに対し、動詞的名詞は裸名詞に限られる、の2点で大きく異なることを確認した。
2) 日本語に訳すと同じ訳になる英語表現であるが、そこに含まれる名詞の形が異なる例の収集を行った。(例: 「手始めに」に対する"as a starter"と"for starters; 「異議を唱える」に対する ”take issue with ..." と"raise an objection to ..." など)合わせて、ウェブ上の辞書を想定して、日本語では同じ訳になるのに、名詞や前置詞が異なると、名詞形が異なる事例(日本人学習者が注意すべき事例)を「同訳リンク」として繋ぐ構想を練った。
3) 「名詞的名詞」と「動詞的名詞」の区別についてはまだ解決しなければならない部分が残るものの、研究の過程で、「名詞的名詞」と「動詞的名詞」の区別は名詞の形と意味解釈に直結するだけでなく、共起する動詞や前置詞、さらには構文(there 構文など)の解釈にそれぞれ二分する必要がある可能性が出てきた。(例:他動詞takeは主語や目的語に名詞的名詞がくるか動詞的名詞がくるかによって、意味が大きく二分される、という仮説)
4) 研究の最終成果物として、名詞的名詞と動詞的名詞に二分して語義・例文を提示する名詞形辞書の作成を考えているが、その核となる名詞形テーブルの作成を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

いくつかの裸名詞の場合において、動詞的名詞か名詞的名詞かの判断に悩む事例ががでてきて、それらをどう処理すべきかで、悩んでいて、研究の基盤である動詞的名詞と名詞的名詞の理論づけが思うように進まなかったため。今まで、物質名詞や概念名をのぞくと、裸名詞となるものは動詞的名詞であるという仮説のもとに、例文の収集・分類を行ってきたが、予想以上に複雑で、分類に必要な明確な理論的根拠を見出すことができず、研究がそこで止まっている状況である。

今後の研究の推進方策

・遅れの原因となっている、動詞的名詞か名詞的名詞か不明な事例について結論を出し、本研究の基盤である、名詞を名詞的名詞と動詞的名詞に二分するという名詞形理論を論文にまとめる。
・ofを前置詞句の考察を継続し、前置詞と動詞的名詞のメカニズムを明らかにする。
・今まで収集してきた名詞形データをもとに、試作版の名詞形テーブルを改良して、新たに「同訳語リンク」「同類語リンク」「同文構造リンク」などの各種リンクを開発し、最終的な辞書サンプルを作成し、ウェブ上で公表する。
・研究成果を学会で発表するとともに、ホームページ上に名詞形テーブル集をのせることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

1番の理由は、物質名詞を除く裸名詞の中に、動詞的名詞か名詞的名詞なのか判断が難しい事例があり、その処理に苦戦していることが関係している。その区別に理論的な明確な根拠を与えられないと、実際に辞書の名詞形テーブルに語義や例文を振り分けることができず、結果的に、研究助手のパートに名詞形テーブルへの入力などが依頼できなかったため、謝金の使用もわずかとなった。
次年度は最終年度になるため、動詞的名詞と名詞的名詞の区分について一定の仕切りをして、それにもとづき名詞形テーブルへの入力等を行っていきたい。また、今まで収集した例文では名詞形テーブルを埋められない部分があるので、それらについては、ネイティブインフォーマントの協力を得て例文を収集したい(謝金)。

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公開日: 2022-12-28  

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