研究課題/領域番号 |
18K18518
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
神田 和幸 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 外来研究員 (70132123)
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研究分担者 |
木村 勉 豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (80225044)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 新手話学 / 手話変種 / 手話変遷 / 言語起源論 |
研究実績の概要 |
コロナ禍の移動制限により、新潟の定点観測のための出張や大阪、名古屋の研究協力者との打ち合わせもオンラインに限定され、とくに聴覚障害者とのコミュニケーションにはかなりの制限を受けた。研究は文献調査とこれまでの研究成果を整理し、さらに過去の分をふくめて、手話学の集大成と新手話学構築のための資料整理に時間を費やした。まとめた結果を書籍の形で次年度中に執筆し出版の方向である。 また過去の資料をスキャナでPDF化する作業を進め、手話学アーカイブ作成の公開資料作成することもできた。手話アーカイブを公開するにはインターネット上にプラットフォームを作成する必要があるが、レンタルサーバの確保、プラットフォームの選択など、専門業者のアドバイスと提案を受け検討中である。こうしたサーバやプラットフォームの維持の資金の目途は立っておらず、成果の公開も一時的で期間限定的になることは非常に慚愧に堪えないので、何か方策がないものか模索中である。印刷出版であれば、一時的出費で将来にも残る形になるが、電子出版の場合、期間限定的になることは避けられない。とくに動画資料は揮発的情報になりやすい。またNFTがまだ文章には適用されなさそうな現状で、DOI以外に著作権や知的財産保護がされにくく、DOIには学会発表でないと適用されないなど限定的であり、何か国家的な規模でアーカイブとして研究成果に限定された施設・機関の設立を要望したい。それに間に合うかどうかは不明だが、少なくとも個人レベルでできる範囲で研究成果の電子情報を保存する術を検討中である。 本年度は1回の学会における共同発表と2回の招待講演があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により出張が不可能になり、定点観測値での対面調査ができなかった。一方で文献調査や資料整理に時間を費やすことができ、成果をまとめるための資料作りができた。コロナ禍が一時的に感染が低くなったタイミングで北海道での2度の招待講演により、手話についての知見をアイヌ語やtranslanguaging研究グループに披露し、ハイブリッド会議によって海外の研究者とも意見交換ができたことは広報活動としての成果があった。コロナ禍がいつまで続くのは見通しが効かない中、研究期間をいたづらに延長していくことにも限界があり、もし次年度もコロナ禍が続くようであれば、高齢研究資料提供者のこともあり、定点観測を中断し、限定的な内容でまとめることを検討する。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の終息次第にもよるが、高齢研究資料提供者の事情も鑑み、定点観測による調査は本年度で見切りをつけて、現状の資料と思索による推論で成果をまとめることになることを予想している。研究題目の実証的研究は当初の目標からはやや後退的になるが、エビデンスがないわけではないので、研究内容を多少変更し、言語起源論などを含めた思索的な成果にまとめる方向を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における移動の制限により出張が不可能となり、旅費、人件費、その他の執行ができなかった。次年度のコロナ禍の状況と現地の資料提供者の状況にもよるが、確認のための定点観測地への出張により、コロナ禍中の状況の対面調査と設置器具の回収などを行う。また研究成果を公表するためのコンテンツ作成とプラットフォーム作成の協力をえるために大阪の業者との会議を行う計画である。
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