研究課題/領域番号 |
18K18520
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
遠藤 智美 (水落智美) 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 流動研究員 (90568859)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 感覚統合 / オノマトペ / 言語 |
研究実績の概要 |
実験に使用する刺激語の候補として、NTTデータベースより親密度の高い順からオノマトペ300語を選んだ。この時に、個々の単語の心像性、頻度のデータも採取した。また、「オノマトペ+名詞」の多様性を調べるために、大規模コーパスを用いてエントロピー(情報のあいまいさの指標であり、数値が大きいほど共起できる名詞が多く、0のときは1つの名詞としか共起していないことを示す。)を算出した。 算出されたエントロピーと、既知の指標である親密度、心像性、頻度との相関があるかを、相関係数を算出して調べた。 大規模コーパスにオノマトペ+名詞の用法で収録されていないオノマトペがあったため、エントロピーは149語のオノマトペで算出された。また、大規模コーパスに1文のみしか収録されていないためにエントロピーが0となったオノマトペを除外したため、相関解析の対象となったオノマトペは107語であった。 エントロピーと親密度、エントロピーと心像性については、有意な低い相関が認められた(親密度:p < 0.005、r = 0.29、心像性:p < 0.05、r = 0.24)。一方、頻度との相関は認められなかった(p = 0.35、r = -0.09)。 エントロピーの高いオノマトペ上位5つはごつごつ、どろどろ、ざらざら、ふわふわ、つるつるという触感に関する語であった。一方、下位のオノマトペには、うじゃうじゃ、ぷんぷん、ほかほかという、状態を示す語であった。今回の実験で使用するオノマトペは、感覚に関する語であるため、個々のオノマトペの持つエントロピー、親密度、心像性は高いことが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、オノマトペと、オノマトペと類似した意味を持つ形容詞を用いて脳内処理を比較するものである。MRI実験でオノマトペと形容詞の差が認められた場合、差をもたらすものが親密度や心像性などではないことを担保するためには、事前に全ての使用語句について親密度等を調べて、これらの評定値に差がないことを確認する必要がある。しかし、名詞を修飾する用法で大規模コーパスに収録されているオノマトペは少ないため、これらのデータを収集する必要が生じた。アンケート形式での調査を予定していたが、新型コロナ感染拡大により被験者が集まらずデータの収集が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
データの収集が遅れているアンケート調査をオンラインで実施できるようにし、早急に個々の語句のもたらす印象についてのデータを収集する。得られたデータを基に、オノマトペ群、形容詞群での刺激を作成してfMRI実験を開始する。 得られたデータより、修飾語の違い、修飾語・被修飾語の関与する感覚が一致しているか否か、それらの表現がどれくらい理解可能かによる脳活動の違いを検討することで、共感覚的比喩表現処理に関与する神経基盤を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が開始できていないため、fMRI実験被験者への謝金を使用していない。また、新型コロナ感染拡大のため、学会の開催が中止になっており、旅費も使用していないため、次年度使用額が生じている。 新たにアンケート調査の必要が生じたため、アンケート協力者への謝金として使用する。また、MRIデータ解析には専門のソフトや高性能のパソコンが必要となるため、適宜これらを購入することで、助成金を使用する。
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