研究課題/領域番号 |
18K18528
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡崎 敦 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (40194336)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 資料・情報管理 / アーカイブズ / 図書館 / 博物館 / 専門職養成 / オープンデータ |
研究実績の概要 |
2018年度の研究活動として、研究基盤の形成、キックオフ研究会の開催、オープンデータについての公開シンポジウムの企画・開催、学校資料についての研究会の開催、2018年度研究成果報告書の刊行を挙げる。具体的には、 1。研究基盤の形成:専用のホームページ(http://www2.lit.kyushu-u.ac.jp/~his_west/shiryotokokyosei.html)を開設するとともに、資料収集を開始した。これらの一部は、研究動向論文として、報告書にまとめた。 2。研究会の開催:2018年9月1日、2日の両日に渡って、共同研究の趣旨を確認し、今後の活動計画を立案するためのキックオフ研究会を開催した。初日の研究会は公開とし、研究協力者以外にも多数の参加者を得た。2019年2月10日、学校資料についての研究会を開催した。京都市学校博物館で続けられている試みを中心に、大学文書館、図書館等の役割についても再検討した。特に資料、情報管理機関のミッションについて議論した。 3。オープンデータについての公開シンポジウムの企画、開催:2019年1月30日、九州大学大学院統合新領域学府、付属図書館等との協力を得て、オープンデータに関する公開シンポジウムを開催した。共同研究メンバーに加えて、ゲストスピーカーを2名招聘し、全国から多数の参加者を得て、多面的な議論を展開した。特に、人社系の研究データ管理や利活用について、大学としての責任や役割についての議論が重要であった。 4。2018年度研究成果報告書の刊行:研究全体の趣旨を序論にまとめたほか、年度内に開催した全ての研究会、シンポジウムの概要を報告する記事、さらには共同研究メンバーによる個別論考2編を掲載した。紙媒体のほか、ウェブ上でも公開した(http://hdl.handle.net/2324/2230688)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2018年度は、研究基盤の形成、研究会・シンポジウム等の開催、研究成果の公表などの諸点で、当初予想以上の進展を見ることができた。具体的には、 1。研究基盤の形成について。専用ホームページを開設し、活動の公開を開始したほか、関連の文献等の体系的な収集、検討等を続行している。また、活動の展開を通じて、関連団体、関係者との連携の可能性も広がっている。特に、九州大学附属図書館、大学文書館、統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻の九州大学の3機関とは、組織的な連携関係を再度確認した。 2。研究会・シンポジウム等の開催。2018年度は、関係団体との連携も進めながら、合計3回のイベントを開催した。中でも、九州大学の諸機関と協力して開催した「オープンデータ」についてのシンポジウムは、全国から参加者を得て、活発な議論が行われた。また、「学校資料」、「学校博物館」については、京都市学校歴史博物館所属の研究者との協力関係を築き、今後シンポジウム等の企画を構想することとした。 3。年度末には、2018年度の活動成果報告書を刊行した。企画、開催した全てのイベントの報告記事を掲載したほか、研究動向の検討などからなる独立した個別論考も2編公表することができた。 4。情報管理期間のミッションの再定義、情報管理専門職の養成の再検討については、国立公文書館で進められているアーキビストの職務標準づくりや、九州大学附属図書館研究開発室における司書の専門性向上プロジェクト、さらには福岡共同公文書館やワンビシ・アーカイブズなどとも連携しながら、準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、まず研究の基盤づくりと学界における認識の共有を推進する。2019年度について、すでに4月には「公共歴史学、公共考古学」をテーマとするシンポジウムを、複数の学会との共催で開催予定である。「公共歴史学」の実践について造詣が深いゲストスピーカーを招聘するほか、共同研究メンバーによる報告、コメントも準備している。また、年度内に、アーカイブズについての研究会も企画している。そのほか、学会動向の検討を引き続き続行し、その成果は、報告書やホームページ等において公表していく。この際、研究動向論文の作成とともに、関係資料、参考文献データベースの作成、公表も推進する予定である。 社会的実践については、資料・情報管理機関のミッションの再定義、およびそれを担う専門職養成の新たな提案を課題している。2018年度は、世界の現状の調査、再検討へ向けて、作業の準備を開始したが、2019年度は、情報管理専門機関、専門職現職者との具体的な共同研究を実施する。研究代表者は、複数の関係機関が実施、あるいは予定しているプロジェクトにも関与しており、最終的には、現場におけるニーズや実情を反映しながらも、國際的スタンダードに準拠するモデルを提案する予定である。
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