研究課題/領域番号 |
18K18528
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡崎 敦 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (40194336)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 歴史資料保存・管理 / アーカイブズ学 / 公共歴史学 / オープンデータ / 博物館展示 / 情報管理専門職養成 |
研究実績の概要 |
2020年度は、COVID-19蔓延のため、対面での開催を予定していた研究会、シンポジウム等の中止を余儀なくされる一方で、研究協力者を中心とする共同研究の関係者間でオンラインやメールによる会議を実施し、最終年度に予定していた研究活動、最終的な研究成果とりまとめのスケジュールや内容の変更を検討した。本課題の共同研究自体は、2021年度を最終年度とすることとし、2020年度に予定していた研究会等を延期開催する一方、総括シンポジウムや最終報告書編集の準備を開始した。 他方、共同研究に係る研究者たちは、それぞれ本課題に関係する研究を続行し、その成果の一部を、論文や論評、あるいは研究報告のかたちで公表した。 研究代表者の岡崎敦は、デジタル環境におけるアーカイブズ管理の諸問題を、伝統的にアーカイブズ学と深い関係にある文書学の現代的変容との関係で論じる論文、アーカイブズ資料に関する歴史研究の国際比較についての論文等を発表した。 研究協力者の村野正景は、学校資料、学校博物館や公共考古学に関する調査、研究に関する論文を多数発表するとともに、博物館や学芸員が地域社会との間で取り持つ関係についても考察を深めている。研究協力者の畑埜晃平は、データサイエンスについての研究を続行し、機械学習によるオンライン予測についての研究成果を公表した。研究協力者の清原和之は、オーストラリア先住民の記憶の管理実践と公文書管理との関係を問う学会報告を行ったほか、アーカイブズ学や公共歴史学に関して刊行された重要な研究文献の書評を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、COVID-19蔓延のため、対面で予定していた研究会、シンポジウムの開催が不可能となる一方、出張が大幅に制限されたことから、研究協力者を中心として、共同研究の関係者間の連絡調整にも大きな影響が出た。このため、オンラインやメールによる会議を開催して、今後の研究会やシンポジウム等の準備、および最終的な研究成果の取りまとめのスケジュールや内容について議論を重ねた。 2020年度は、研究交流の深化については断念し、共同研究に関係する研究者たちが、本課題に関する研究を個々に続行、公表することとした。その上で、本研究の最終的なとりまとめは2021年度に延期する。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に開始した本研究は、これまで「公共」という形容詞を冠する人文諸科学の動向を体系的に再検討しながら、共通の論点を析出するとともに(公共歴史学、公共考古学など)、デジタル環境における情報資源の管理、オープンデータの動向が新たに提示する諸問題を、情報管理機関のミッションの再定義、情報管理専門職養成とも関連させながら、検討してきた。 2021年度は、当初2020年度に予定していた「公共歴史学的な観点からの博物館展示」をテーマとする研究会を延期開催するほか、年度末に本研究全体を総括するシンポジウムを開催する。また、デジタル時代に新たに提起される情報管理の諸問題について、多面的に検討する最終報告書を編集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19蔓延のため、2020年度の最終年度に予定していた研究会、シンポジウム等の開催中止を余儀なくされた一方、共同研究の最終報告書取りまとめについても、研究協力者中心として、共同研究の関係者間での議論、調整が滞り、編集、刊行に至らなかったため、研究期間の延長を申請し、受理された。 2021年度は、当初最終年度の2020年度に予定していた「公共歴史学的観点による博物館展示」に関する研究会、総括シンポジウムを開催する他、多面にわたり本課題を総括する最終報告書を刊行予定である。
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