特徴的な地理パターンの抽出は,地理学における重要な研究手法の一つである.そのため典型的地理パターンについては,効率的に抽出・検定する定量的手法が数多く開発されてきている.しかし,地理学で扱う地理パターンは遙かに多様であり,既存手法で抽出できる地理パターンは限定的である.そこで本研究では,より多様な地理パターンを抽出する新たな定量的手法を開発した.統計学的枠組みを利用し,様々な確率現象を仮定することで,既存手法にはない拡張性を確保した. 具体的には,空間スキャン統計量の考え方を援用し,各地点の周辺地域を仮定,その内外での空間現象の差異を評価している.内外2つのモデルは最尤法を用いて推定し,対数尤度比を差異の大きさを表す指標として用いている. 結果の可視化については,対数尤度比を色彩の明度或いは彩度,差異の性質を色相によってそれぞれ表現し,地図として表現する方法を提案している.この方法により,差異の程度と同時にその性質も把握することができる.
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