研究課題
女性性器切除/女子割礼(FGM/C)は、健康被害および人権侵害の観点から国際的な廃絶の対象となっている。だがWHOのFGM/Cの定義とゼロトレランスという廃絶の基準は、ローカルな場に持ち込むとしばしば失敗する。実際の廃絶活動ではグローバルな基準は地域の社会・文化的状況に合わせローカライズされる必要があり、そのためにはそれに関連する様々な地域の文化的・社会的仕組みやニーズを取り入れていく必要がある。FGM/Cについての医学的研究や文化的背景についての研究は多いが、廃絶活動自体を上記の観点から探求した体系的研究はない。NGOによる廃絶の成功例もいくつかあるが、ドナーへの説明責任を果たすものとして書かれたものが多く、地域の実情を正確に反映しているとはいえない。以上をふまえて、本研究は、研究者と開発実務家により組織する学際的な研究会での熟議をとおして、FGM/C廃絶に関する代替モデルを構築することを目的とした。本研究プロジェクトは、4人の研究代表者・分担者のほかに、9人の国内外の研究者を加え、文化人類学だけでなく、政治学、地域研究、医学面からも、この問題にアプローチした。3回の国際ワークショップ、21回の研究会の他、参加者たちはこの問題について、学会をはじめとしてさまざまな場で発表を行った。また期間中に、日本語の編著を1冊、英語の編著を1冊出版し、ゼロトレランスとは異なる廃絶モデルについて、いくつかの提言を行なった。なおSpringer社からの英語編著の出版は、最終年度の2023年3月に行われた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 図書 (2件)
生活協同組合研究
巻: 561 ページ: 22-29