研究課題/領域番号 |
18K18544
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
丹羽 雄一 中央大学, 理工学部, 助教 (20705371)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 沖積平野 / 地形 / 表層地質 |
研究実績の概要 |
過去数百~数千年間に発生した自然災害発生履歴の復元手法を探究するという目的で実施する地形・地質研究の一環として、本年度は調査地域の選定と沖積層試料の採取を行った。調査地域選定に関しては、東北地方太平洋沖地震をはじめとした海溝型巨大地震に関連した現象の発生や、洪水氾濫による脆弱性のように、地震と洪水両方に関連した現象がこれまでにも生じていたと考えられる、東北地方太平洋岸の沖積平野の地形や表層地質の概要を空中写真やボーリングデータ、既存文献などを用いて検討した。後背湿地が広く分布している地形の特徴や、最上部に細粒層が分布しているといった表層地質の特徴、が認められることに加え、車で立ち入った際の利便性などを総合的に検討し、本年度の研究対象地域として、八戸の馬淵川沿いの低地を選定した。 沖積層試料の採取に際しては、まずは具体的な調査候補地点を低地の表層地質や土地利用を踏まえて合計20地点ほど選定し、地権者の情報を取得した。現地での試料採取に先立ち、用地の地権者に調査概要の説明を行い、用地使用の同意を得た。そのうち8地点で、各地点につき6~8 mの沖積層試料をパーカッションボーリングによって採取した。採取した試料の半割と記載を行った結果、当該地域の表層地質は主に泥層から構成され、泥層中に軽石層を挟んでいることがわかった。現在は、堆積物の詳細な記載と年代測定・各種分析用試料のサンプリングを進めていることろである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
沖積層試料を本年度中に採取する、という点では計画通りに進んだ。また、本年度の調査によって、沖積層試料採取に関する一連の流れをつかむことができたため、来年度の調査を円滑に行う下準備ができた。当初、本年度中には15~20地点程の沖積層試料の採取を計画していたが、用地を使用可能な時期と調査日程の都合上、試料採取地点数が当初の予定には達しなかったため、やや遅れていると判断した。一方で、本研究開始以前に調査地域周辺で既に得られていた沖積層試料も本研究の遂行に活用できる目途が立ったため、これらデータも今後の研究に援用していく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は採取した試料の詳細記載、年代測定などの解析を進めるほか、前年度に日程の都合で採取できなかった地点での沖積層試料の採取も行う。解析結果を踏まえて、調査地域周辺の地形発達や堆積環境の変遷を明らかにするとともに、地震に関連した地殻変動などの証拠や洪水氾濫を示すイベント堆積物の検出を進める。同時に、他の地域で地震と洪水の両方に関連した自然現象が解読できそうな平野の有無の検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年10月末~11月に沖積層試料の採取を行ったが、調査予定用地の水田が稲刈り前で使用できないなどの理由で、調査地点数が当初の予定よりも少なくなった。そのため、当初の予定よりも調査日程が短縮され、それに関わる旅費の支出が減った。2019年度は、引き続き八戸周辺での沖積層試料の採取や年代測定などの分析に研究費を使用する。また、他地域への研究展開に向けた予備調査(旅費や沖積層試料の採取)にも研究費を使用する。
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