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2021 年度 実施状況報告書

法学・心理学・脳神経科学の学際的研究による取調の適切性を評価する客観的尺度の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K18555
研究機関立命館大学

研究代表者

山崎 優子  立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (20507149)

研究分担者 仲 真紀子  立命館大学, OIC総合研究機構, 教授 (00172255)
指宿 信  成城大学, 法学部, 教授 (70211753)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2023-03-31
キーワード取調べ / クローズド質問 / オープン質問 / fMRI / 神経基盤 / 左下前頭回(LIFG) / 司法面接
研究実績の概要

本年度は、fMRI実験を実施し、データの解析にあたった。MRI実験の目的は、取調方法(オープン質問 対 クローズ質問)に依存する神経活動の違いについて、非侵襲的脳機能画像法を用いて明らかにすることであった。オープン質問(「〇〇について知っていることを話してください」のように自由報告を求める質問)は、クローズド質問(〇〇ですか? △△ですか?」のように「はい/いいえ」等の選択肢で回答を求める質問)より正しい情報を対象者から得ることができることが心理学研究で明らかにされている。
本研究で、オープン質問によって得られる供述が、クローズド質問によって得られる供述よりも正確であることに加え、質問の種類に依存する神経基盤が解明されれば、オープン質問が取調べの適切さを客観的に評価する指標となりえると考えた。
fMRI実験では、窃盗シーンを含むビデオを視聴した被験者に対して、ビデオ内容についての質問(オープン質問、クローズド質問)について回答を求めた。 これまでに実施した実験の解析結果は次のとおりである。 第一に、正答率については、オープン質問の方がクローズド質問よりも有意に高かった。第二に、fMRI実験の結果は、左下前頭回(LIFG)およびメモリ関連領域が、オープン質問の方がクローズド質問と比較して有意な活性化がみられた。これらの結果は、LIFG がこのタスクの構文処理とメモリ負荷に関与していたことを示唆するものであり、オープン質問に対して被験者は、意図的に経験したことがらを思い出し、慎重に回答したと考えられる。以上の結果から、オープン質問が取調べの適切さを客観的に評価する指標となりえることが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症拡大の問題が長引いて、MRI実験の実施が計画通りに進まず、このことが進捗状況の遅れの要因となっている。実施計画をスムーズにたてることが困難な状況であり、計画通りにデータを得ることが難しかった。

今後の研究の推進方策

必要なデータを収集し、データの解析、成果報告を計画的にすすめていく。

次年度使用額が生じた理由

計画していたfMRI実験の実施が一部延長となったことに因る。2022年度は、fMRI実験実施の経費(被験者への謝金、実験実施にともなう交通費等)、成果報告に必要な経費(交通費、英文校正費等)に使用する計画である。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Urgent issues and prospects at the intersection of culture, memory, and witness interviews: Exploring the challenges for research and practice2022

    • 著者名/発表者名
      Hope,L., Anakwah,N., Antfolk,J. Brubacher,S.P., Flowe,H., Gabbert, F., Giebels,E., Kanja,W., Korkman,J., Kyo,A., Naka,M., et al.
    • 雑誌名

      Legal and Criminological Psychology

      巻: 27 ページ: 1-31

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Eyewitness testimony in native and second languages2022

    • 著者名/発表者名
      Hu Zhengfei., Naka Makiko
    • 雑誌名

      Psychology, Crime & Law

      巻: - ページ: 1-17

    • DOI

      10.1080/1068316X.2022.2030332

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 子どもの話を聴くための手法と実践例~司法面接の技法をいかして.第7回 被疑少年からの聴取2021

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 雑誌名

      家庭の法と裁判

      巻: 32 ページ: 125-133

  • [雑誌論文] 子どもの話を聴くための手法と実践例~司法面接の技法をいかして.第8回 第三者による性被害,捜査機関が中心となる代表者聴取について2021

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 雑誌名

      家庭の法と裁判

      巻: 34 ページ: 156-163

  • [雑誌論文] 司法面接. 子どものマルトリートメントと精神科医療2021

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 26(1) ページ: 41-45

  • [雑誌論文] Gender Equality Matters: Natural Sciences vs. Humanities2021

    • 著者名/発表者名
      NAKA Makiko
    • 雑誌名

      TRENDS IN THE SCIENCES

      巻: 26 ページ: 2_72~2_74

    • DOI

      10.5363/tits.26.2_72

  • [雑誌論文] 司法面接の現状と留意点2021

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 雑誌名

      捜査研究

      巻: 845 ページ: 9-18

  • [雑誌論文] 子どもの話を聴くための手法と実践例~司法面接の技法をいかして.第9回 幼児からの聴取,年少者への配慮が求められる事案について2021

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 雑誌名

      家庭の法と裁判

      巻: 36 ページ: 166-174

  • [学会発表] 事件の目撃者から得られる情報の質と量に影響する面接者の要因と被面接者の要因(口頭発表)2021

    • 著者名/発表者名
      山崎優子・仲真紀子
    • 学会等名
      法と心理学会
  • [学会発表] Inmates’ perception of suspect interviews: Factors perceived to affect telling the truth2021

    • 著者名/発表者名
      Naka, M., Yamamoto, S. Suzuki, A., Uemiya, A., & Yokomitsu, K.
    • 学会等名
      SARMAC
    • 国際学会
  • [学会発表] 司法面接の事後的検討:心理学的な観点から. 木田秋津(企画)司法面接(協同面接)の現状と課題―被害者供述の信用性確保と子どもの権利擁護を両立するために2021

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 学会等名
      日本児童虐待防止学会
  • [学会発表] 司法面接の事後的検討:心理学的な観点からシンポジウムS5-37(20052)木田秋津(企画)「司法面接(協同面接)の現状と課題ー被害者供述の信用性確保と子どもの権利擁護を両立するために」2021

    • 著者名/発表者名
      仲真紀子
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会
  • [学会発表] Visual Recording and Bias : A proposal in the evidentiary rule for avoiding the confirmation bias produce by the visual image in the courtroom2021

    • 著者名/発表者名
      Ibusuki,M.
    • 学会等名
      Comparative Study of Criminal Justice Symposium: Accountability and Transparency in Policing and Criminal Justice in the U.S.and Japan
    • 国際学会
  • [図書] 児童虐待における司法面接と子ども支援2021

    • 著者名/発表者名
      田中 晶子、安田 裕子、上宮 愛、鈴木 聡、片岡 笑美子、根ケ山 裕子、西脇 喜恵子、田中 周子、佐々木 真吾、仲 真紀子、丹藤 克也、松本 昇、三上 謙一
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      北大路書房
    • ISBN
      4762831735

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公開日: 2022-12-28  

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