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2021 年度 実施状況報告書

タイムユーズサーベイを応用した官僚の行動分析の革新

研究課題

研究課題/領域番号 18K18556
研究機関東北大学

研究代表者

青木 栄一  東北大学, 教育学研究科, 教授 (50370078)

研究分担者 北村 亘  大阪大学, 法学研究科, 教授 (40299061)
曽我 謙悟  京都大学, 法学研究科, 教授 (60261947)
清水 唯一朗  慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (70361673)
村上 裕一  北海道大学, 法学研究科, 准教授 (50647039)
河合 晃一  金沢大学, 法学系, 准教授 (50746550)
研究期間 (年度) 2021-03-01 – 2023-03-31
キーワードタイムユーズサーベイ / ワークライフバランス / ダイアリー式サーベイ / 官僚制 / 行政学 / ウェブサーベイ
研究実績の概要

具体的内容:①本省及び地方支分部局に勤務する国家公務員を対象としたウェブサーベイを実施した。実査は楽天インサイトに委託した。この調査はフェイスシート・ワークライフバランスに関する質問紙調査とダイアリー式のタイムユーズサーベイから構成される。後者は、縦軸に業務・行為を、横軸に時間帯を示した調査票を用いる。今回は連続した7日間を3回に区分し、3回すべてに回答した協力者が285名だった。②①のサーベイで得られた基礎集計をふまえてセミナーをオンラインで実施した。講師はタイムユーズサーベイを教員に適用した研究を行っている神林寿幸氏(明星大学)である。
意義:①国家公務員を対象としたダイアリー式タイムユーズサーベイは少なくとも国内では初めての試みである(学術的意義。特に先進性・独創性)。②国家公務員を対象としたウェブサーベイを実施したことで、調査会社が保有する回答者群に一定規模の国家公務員が含まれることが判明した。今後さらにウェブサーベイを活用した研究の可能性が広がることが分かった(学術的意義。特に研究方法)。③単純集計であるがメンタルヘルスの状況を測定する尺度であるK6得点が回答者平均で6.4であった。これは多忙であることが指摘される公立小中学校教員の5.6点と比較しても高く、国家公務員のメンタルヘルスの状態が不良であることを示唆する。ワークライフバランスを考慮したマネジメントが必要であることがわかった(実務上の意義)。
重要性:このプロジェクトは萌芽研究として、これまでにない研究手法(ダイアリー式タイムユーズサーベイ)を国家公務員に適用することを特徴とする。当該年度に実施した研究の成果から国家公務員のワークライフバランスが不良であることが示唆されたことから、学術的新規性、社会的意義の二つの観点から重要性が認められると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍という状況に鑑みて、当初想定していた調査形式(自記式の郵送アンケート)からウェブサーベイへと変更した。これが計画段階から大きく変更した点である。そのため、ウェブサーベイに適合的な調査票の開発に幾分時間がかかった。また当初ウェブサーベイは試行として位置づけごく小規模で実施する予定であったが、独自のウェブ調査のためのシステム構築は現実的ではないことが判明したことで、調査会社への委託を選択することとした。そのため一定の初期費用がかかることから、調査対象も大きくすることとした。そのため調査票の確定に当初の想定よりも時間をかけた。しかしながら、ウェブサーベイとしたことで集計時間を大幅に節約することができた。年末に実査した結果集計をふまえて年度末にセミナーを開催することができた。
当初計画していた少数の官僚を対象とした長期間のタイムユーズサーベイについては、コロナ禍のため業務が複雑化したため依頼を断念した。代替措置として、上記のウェブサーベイでは過去一年間の残業時間を月別に調査した。これにより、繁忙期、通常期、閑散期のおおよその状況が測定でき、調査時期のバイアスの推定に必要な情報が得られた。

今後の研究の推進方策

ウェブサーベイによる一定の成果を得られる見込みが立ったため、今後もウェブサーベイに一本化して本研究課題を推進する。ただし、ダイアリー式タイムユーズサーベイで、業務(ワーク)も生活時間(ライフ、プライベート部分)も回答を求めることが困難であること、業務をあまり細かく分類しても回答者の負担が増し回答の精度が低くなることなどから、調査票の簡素化を図る必要がある。また、コロナ禍であることから対面式のインタビューが困難であり、また調査対象である官僚という職業上の特性からオンラインインタビューも実施上の困難が予想されることから、本研究課題はウェブサーベイに注力することとしたい。

次年度使用額が生じた理由

ウェブサーベイで当初予定していた金額よりも安価になったからである。ウェブサーベイは回答者数によって請求額が変動する。今回の調査ではやや回答の負担が強かったため回答者数が想定よりも少なくなった。

  • 研究成果

    (29件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (13件) (うちオープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 7件) 図書 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] コロナ禍における教職員業務とこれからの学校マネジメント2022

    • 著者名/発表者名
      青木栄一・神林寿幸
    • 雑誌名

      教育と医学

      巻: 70(1) ページ: 20-27

  • [雑誌論文] ウィズコロナ・ポストコロナと学校の働き方改革2022

    • 著者名/発表者名
      青木栄一
    • 雑誌名

      Educasphere

      巻: 6 ページ: 16-17

  • [雑誌論文] レポート「自動車損害賠償保障制度:自動車事故対策と民商法・公共政策の交錯」2022

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      年報公共政策学

      巻: 16 ページ: 331-332

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 異見交論(第13回)東北大学教授 青木栄一氏 「世界に伍する大学」自立・自律を求めて2021

    • 著者名/発表者名
      青木栄一・松本美奈
    • 雑誌名

      文部科学教育通信

      巻: 509 ページ: 4-10

  • [雑誌論文] みんなで異見交論(第5回)Webセミナー 「世界に伍する大学」とは?(1)2021

    • 著者名/発表者名
      赤石浩一・青木栄一・松本美奈
    • 雑誌名

      文部科学教育通信

      巻: 514 ページ: 4-9

  • [雑誌論文] みんなで異見交論(第5回)Webセミナー 「世界に伍する大学」とは?(2)2021

    • 著者名/発表者名
      赤石浩一・青木栄一・松本美奈
    • 雑誌名

      文部科学教育通信

      巻: 515 ページ: 4-10

  • [雑誌論文] 都市自治体における首長と教育委員会の連携による教育の可能性について2021

    • 著者名/発表者名
      青木栄一
    • 雑誌名

      都市とガバナンス

      巻: 36 ページ: 58-64

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 魅力ある公務に進化するために2021

    • 著者名/発表者名
      清水唯一朗
    • 雑誌名

      人事院月報

      巻: 867 ページ: 1-4

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 北海道自治研究会:フランスの地方自治の体感2021

    • 著者名/発表者名
      村上裕一
    • 雑誌名

      北海道自治研究

      巻: 633 ページ: 14-25

  • [雑誌論文] 行政学における実験研究の動向 ―行動行政学としての行政管理研究、組織研究の発展可能性2021

    • 著者名/発表者名
      河合晃一
    • 雑誌名

      季刊行政管理研究

      巻: (174) ページ: 33-47

  • [雑誌論文] 大阪都構想と新型コロナ対応が映し出す日本の地方自治2021

    • 著者名/発表者名
      曽我謙悟
    • 雑誌名

      地域人

      巻: 67 ページ: 20-25

  • [雑誌論文] ワクチン接種の行政学2021

    • 著者名/発表者名
      曽我謙悟
    • 雑誌名

      都市とガバナンス

      巻: 36 ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 政治過程としてのEBPM:地方分権改革およびDXとの比較2021

    • 著者名/発表者名
      曽我謙悟
    • 雑誌名

      季刊行政管理研究

      巻: 176 ページ: 1-3

  • [学会発表] 公人オーラルヒストリーにみる歴史・人生・物語2022

    • 著者名/発表者名
      清水唯一朗
    • 学会等名
      国際学術シンポジウム「歴史・人生・物語─東アジアのオーラルヒストリー研究」
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 教育行政学を論点嗜好から命題志向へ転換させるには―乗るべき巨人の肩探しへの道程2021

    • 著者名/発表者名
      青木栄一
    • 学会等名
      日本教育行政学会
    • 招待講演
  • [学会発表] COVID-19感染拡大を受けた公立学校の臨時休業と再開に向けた地方自治体の動き―都道府県・市区町村悉皆調査の集計報告―2021

    • 著者名/発表者名
      神林寿幸・廣谷貴明・青木栄一
    • 学会等名
      日本教育経営学会新型コロナウイルス感染症対策に伴う教育経営課題に関する特別委員会
    • 招待講演
  • [学会発表] 自著紹介2021

    • 著者名/発表者名
      青木栄一
    • 学会等名
      日本高等教育学会
    • 招待講演
  • [学会発表] COVID-19感染拡大に伴う臨時休業に関する地方自治体の意思決定の実態2021

    • 著者名/発表者名
      廣谷貴明・神林寿幸・青木栄一
    • 学会等名
      日本教育経営学会新型コロナウイルス感染症対策に伴う教育経営課題に関する特別委員会
    • 招待講演
  • [学会発表] 自著『文部科学省』を語る―応用問題としての大学ファンド、こども庁を見据えて―2021

    • 著者名/発表者名
      青木栄一
    • 学会等名
      国際日本文化研究センター「日本型教育の文明史的位相」研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 保健所行政の組織資源とガバナンス2021

    • 著者名/発表者名
      河合晃一・関智弘・横山智哉
    • 学会等名
      日本政治学会
  • [学会発表] 独立行政法人の運営に対する制度改革効果の推定2021

    • 著者名/発表者名
      河合晃一
    • 学会等名
      日本行政学会
  • [学会発表] 行政学における実験研究の動向2021

    • 著者名/発表者名
      河合晃一
    • 学会等名
      日本公共政策学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Do Flat Organizations Work Differently from Hierarchical Ones? Evidence from Laboratory Experiments on Public Sector Organizational Reforms in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Koichi Kawai, So Morikawa, Kiichiro Arai, Yutaka Onishi
    • 学会等名
      IPSA 26th World Congress of Political Science
    • 国際学会
  • [図書] 現代官僚制の解剖2022

    • 著者名/発表者名
      北村 亘
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      4641149402
  • [図書] 国家 (教育学年報12)2021

    • 著者名/発表者名
      青木栄一・丸山英樹・下司 晶・濱中淳子・仁平典宏・石井英真
    • 総ページ数
      317
    • 出版者
      世織書房
    • ISBN
      4866860200
  • [図書] 災害連携のための自治体「応援職員」派遣ハンドブックー東日本大震災のデータと事例から2021

    • 著者名/発表者名
      西出順郎、内城仁、大谷基道、河合晃一、黒田慶廣、武山剛、西田奈保子、松井望
    • 総ページ数
      170
    • 出版者
      公人の友社
    • ISBN
      4875558619
  • [図書] 行政学2021

    • 著者名/発表者名
      西岡 晋、廣川 嘉裕
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      文眞堂
    • ISBN
      4830951389
  • [備考] リサーチマップ

    • URL

      https://researchmap.jp/read0124718/

  • [備考] 青木栄一ゼミ

    • URL

      https://www2.sed.tohoku.ac.jp/cgi-bin/psced_wiki/wiki.cgi?page=%C0%C4%CC%DA%B1%C9%B0%EC%A5%BC%A5%DF

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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