研究課題/領域番号 |
18K18558
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大西 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90254375)
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研究分担者 |
森川 想 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10736226)
河合 晃一 金沢大学, 法学系, 准教授 (50746550)
関 智弘 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (60796192)
荒井 紀一郎 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (80548157)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 行政組織改革 / 実験室実験 / 行政学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、行政組織改革の帰結を、実験アプローチを用いて説明することにある。行政組織改革の直接の帰結である、構成員の意思決定・行動や組織パフォーマンスの変化は、行政学の核心的テーマであるにも拘らず未解明である。本研究は、実験アプローチを行政学に適用し、上記テーマへの回答を与える。加えて、行政学の知見を加味することで、階統的構造を持った集団を対象とする新たな実験設計を提案する。 本研究で検証を予定する行政組織の改革事例は、2000年代以降、自治体で相次いで導入されている組織のフラット化である。組織のフラット化とは、組織階層の簡素化で不要な中間管理職を廃止し、組織の意思決定を迅速化する取り組みであるが、その効果をめぐっては議論が分かれている。本研究では、組織のフラット化が部下へのコントロールを弱めるという点に注目し、フラット化の成否を分ける条件を解明する。 そのために、本研究は実験室実験とそれを補完するための聞き取り調査を行う。実験室実験では、被験者数名を1 グループとし、階統的な組織とフラット組織の結果を比較する。令和2年度は令和元年度に続き学生および公務員を対象として実験を続け知見の妥当性を高めていく予定であったが、新型コロナウィルスによる新型肺炎流行のため実験を行うことはできなかったため、令和元年度におこなった実験結果の分析とそれに基づく実験設計の改良を行った。研究成果の一部は、日本政治学会研究大会で報告したほか、経営学者、経済学者との意見交換の場を持った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスによる新型肺炎の流行は予定していた学生及び公務員を対象とした実験を不可能にした。令和元年度の実験結果を分析しての学会報告等はできたものの、十分な成果であったとはいえないであろう。とはいえ、昨年度の活動を通じて本研究が一定の評価を得たことで、令和3年度より本研究を発展させた研究課題(基盤研究(B)「組織の行動行政学:構造、タスク、構成員がパフォーマンスに与える効果の官民比較実験」(代表・荒井紀一郎))の採択にもつながった点は、行動行政学を日本で推進していくうえで一定の前進であったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、現下の新型コロナウィルスの感染状況では対面での実験は困難と考えられるので、対面実験の可能性を探るとともに、インターネットを介した実験ができないか検討していく。一連の研究で得られた成果は世界政治学会などで報告し、行政学における実験アプローチの有用性を国際的にも主張する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスによる新型肺炎流行のため実験にかかわる出張が困難であったため差額が生じた。この分は、対面実験が可能であればそのための出張費用に、それが困難であればインターネットを通じた実験設計の検討などに使用する予定である。
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