本研究は、「エンタープライズ・オントロジーにもとづくビジネスモデルの生成」と題し、本研究の目的は、企業オントロジー(Enterprise Ontology)の代表的方法論であるDEMO(Design and Engineering Methodology for Organization)を用いて、既存のビジネスモデルをDEMO構成モデルとして表現し、オブジェクト指向開発における「パターン」の議論にもとづいて、構成モデルからビジネスモデルパターンを抽出し、抽出したビジネスモデルパターンの組み合わせとして、新規ビジネスモデルを構築するという方法論を確立することであった。そして、2年間の研究期間で、具体的に以下の研究課題に対する解を得ることを目的としていた:Q1:代表的なビジネスモデルにはどのようなものがあるか? Q2:構成モデルにおけるビジネスモデルパターンとは何か?Q3:ビジネスモデルパターンの合成として、新規ビジネスモデルを構築できるか?新たなビジネスモデルを生成するために提案した方法論は、3つの段階から構成されている:1)既存のビジネスモデルを、ビジネスモデルキャンバス(BMC)を用いて表現し、それをDEMOのConstruction Model(CM)に変換する、2)次に、変換されたCMの分割とマージ操作を行うことにより、新しいCMを生成する、3)最後に新たなCMを再度BMCに変換し、それからビジネスモデルを読み解くことによって、新しいビジネスモデルを生成する。本研究で提案した方法論は、操作性の存在と「価値」を取り扱うことができるという点について優れていると言える。本研究では提案した方法論を、インドネシアの電気通信産業に適用することにより、いくつかの既存のビジネスモデルから、今までに知られていない有意味なビジネスモデルの生成にも成功している。
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