研究成果の概要 |
研究活動の総括として、Dignity, Freedom and Justice, Springer(2024年7月刊行予定)を編集した。本書では尊厳概念がリベラリズムに投げかける問いに応答しながら、正義理論の再編を図った。現存する位階的な秩序の中では、個人の内在的な価値もまた相互に比較されることを免れ得ない。本研究は、尊厳の尊重を帰結から独立した義務として定立したうえで、「尊厳へのケイパビリティ」の保障を個人の権利として確立する論理を模索した。具体的には、ロールズの偶然の哲学とセンのケイパビリティ・アプローチをもとに、公共的相互性の論理と倫理を構成すること、それを通じて正義理論の再編を試みた。
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