研究課題
アジア諸国におけるマテリアルフローコスト会計(MFCA)の開発と普及について,マネジメントコントロールシステム,中国における展開,サーキュラーエコノミーの関係について分析した。MFCAとマネジメントコントロールシステムの関係については,日本企業のデータを基に分析し, MFCA、環境パフォーマンス、経済パフォーマンスの三者の関係を二段階回帰で分析した。その結果,MFCAをより積極的に実施している企業ほど、エネルギー消費量、CO2排出量、廃棄物発生量などの環境パフォーマンスを向上させる可能性が高いことなどを明らかになり,MFCAの有効性が証明された。中国におけるMFCAの展開については,中国における包括的な文献調査を行い,さらに中国企業1社についてケーススタディを実施した。その結果,中国におけるMFCA研究は理論的もしくは規範的なものがほとんどで,実務への普及は進んでいないことが分かった。しかし,台湾企業の導入事例を参考にして中国でもMFCAを導入している企業のケーススタディを行ったところ,MFCAの有効性が示された。MFCAとサーキュラーエコノミーの関係については,サーキュラーエコノミーの段階に合わせたMFCAの拡張的適用の可能性をフレームワークとして示し,太陽光発電を例にとって,中小企業への適用可能性について検討した。この方面へのさらなる展開のためには,MFCAの段階的適用が有効であり,ISO14053の活用が望まれる。これらの研究の結果,MFCA は、省資源化によって環境パフォーマンスをいくつかの側面から改善できるため、生産性を向上させることができることが明らかとなり,アジア諸国における開発と普及が重要な課題であることが示された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 2件、 査読あり 1件)
神戸大学大学院経営学研究科ディスカッションペーパー
巻: 2022・07 ページ: 1~17
巻: 2022・06 ページ: 1~16
Journal of Environmental Management
巻: 303 ページ: 114219
10.1016/j.jenvman.2021.114219