本研究の目的は、大学発の論文と、企業発の特許という2つのビッグデータに対して、(1)深層学習を用いて、前者には特許分類を、後者には論文分類を与え、(2)得られた双方の分類とデータマイニングを用いて、大学発の論文と企業発の特許との関係について、精緻な可視化を行い、(3)以てエビデンスに立脚した産学連携の確立に貢献することを目指すものである。 (1)の研究実績として、企業と大学の共同出願及び大学の単独出願の特許に限定して、論文分類を付与する計算方法の開発を進め、所定の精度で計算することが可能となったが、大学とは直接関係の無い企業の特許に対して網羅的に論文分類を計算すると、精度に一定の限度があることが判明したので、これは今後の解決すべき課題としたい。 (2)の研究実績として、神戸大学における先端バイオ工学研究センターにおける論文発表を分析対象として、[1]論文分類軸+[2]特許分類軸に、[3]時間軸を加えた3次元クロス分析による精緻な可視化分析法を開発し、(a)大学・企業がそれぞれの共同研究相手を探索するための計算方法、及び(b)過去の論文データにBPT確率分布を適用して、将来の論文発表時期とその内容を推測する計算モデルを開発し、(b)を特許出願した後、(a)(b)を研究・イノベーション学会、日本知財学会等で発表した。 (3)の研究実績として、立命館大学・大阪工業大学の約4万件・約1.5万件の学術論文に国際特許分類(IPC分類)を付与し、学部単位、学科単位で2次元クロス分析を行い、研究者単位で精緻な3次元クロス分析を行うことにより、有望な研究者を割り出し、当該研究者の研究内容を特許出願にまで結びつけることに成功し、以てエビデンスに立脚した産学連携の確立に貢献することができた。
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