研究課題/領域番号 |
18K18582
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
岡部 美砂 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (20434649)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 夜間光画像 / 貿易自由化 / 地域間所得格差 / ASEAN / 地域経済統合 |
研究実績の概要 |
前年度は、ASEAN6か国を対象に最小地区ベースの一人当たり所得の推計値と、域内貿易自由化指標と地理的条件を用いて、貿易自由化が各加盟国の地域別の所得水準変化に与える影響を分析した。そこでは、域内貿易自由化により全体として一人当たり所得水準は上昇していることがすべての国で見いだせた。 以上の結果に基づき、2020年度の研究内容は昨年度までに見出した貿易自由化の利益の空間的格差の詳細を、都市・地方間や輸送インフラ整備の水準等からの分析を進めることであった。同時に、夜間光画像の種類をDMSP-OLSから、より新しく解像度の高いSuomi NPP/VIIRSに更新して分析するためのデータベース作成、および貿易自由化の指標を、総貿易額シェアのみのシンプルなものから、輸出・輸入別、財別、および交易条件の変化、関税・非関税障壁等の複数の指標に増加させるなど、データの充実を図ることである。 2020年度の研究成果は、これまでの研究成果の報告(学会報告)と論文出版である。まず、研究成果報告は昨年度に行った実証研究に基づき、90年代から2010年代までのASEAN自由貿易協定下の貿易拡大(域内貿易の成長率)が、各加盟国内の市町村レベルの経済厚生水準の成長率に与える影響を分析した結果をとりまとめ2020年10月の国際大西洋経済学会(オンライン)で行った。また、その報告で得られたコメントに基づき加筆修正した論文は大学紀要(和歌山大学経済学会『経済理論』)で2021年6月に刊行予定である。さらに、上述の詳細なデータおよび新しい夜間光量画像での分析の途中結果は2020年度中の学会等での報告を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大のため学会中止・延期のため、引き続きデータ数を拡大させて分析を進めることで対処し本研究の研究期間を1年延長し、研究報告と論文発表を本年度以降に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度中にとりまとめた研究成果の発表を複数の学会で報告する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大のため開催の延期・中止が相次いだ。そのため、データ種類の拡大や新しい人工衛星画像の利用などを模索して、分析の拡張・改良を行うことにした。データ種類の拡大や新旧データの接続を行うにあたって、年次データの接続や複数のデータの組み合わせ方法の模索などで予定より時間を要することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度中に本研究課題は完了する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で複数の国際学会等での研究成果報告の延期・中止が相次いだため研究計画を1年延長することで対処した。研究計画の延長にともない、2020年度に行う予定であった研究成果報告・論文発表を2021年度に行うとともに、引き続きの課題であった詳細地区レベルの説明変数、および貿易自由化変数の拡充を行うことにした。また、人工衛星画像の最新データの利用および新旧データ接続等を試みることで分析精度の向上を図る予定である。これらの拡張データおよび新データによる分析は2021年度中にとりまとめて、2021年度以降に国内外での学会報告および論文発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度までの研究成果を複数の国際学会で報告を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大により開催が中止・延期された。また、同理由から2020年度中に予定していた海外共同研究者との研究打ち合わせも再度延期した。それら学会参加および共同研究のための参加費や出張経費は2021年度中に行われる学会報告のための参加費および論文出版のための経費(英文添削および投稿料)として使用する予定である。
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