本研究は、貿易自由化のもとで、発展途上国の地域間所得格差がどのような影響をうけて変化するのかを人工衛星画像を利用し分析することを目的としている。ASEANを研究対象とした研究の結果、貿易自由化は全体的な所得水準を上昇させるが、その利益は都市部の方がより大きく、地域間所得格差を拡大する傾向が見られた。一方、国境地域の農村部に焦点をあてた分析の結果、地方農村部が貿易の利益を得るためには、輸送インフラの整備と、近隣都市の市場アクセスの改善が重要な要素となることが分かった。貿易自由化のもとで経済発展と地域間格差縮小を目指す途上国にとって、各地方が貿易に円滑に参加できる条件を整備することが重要である。
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