本研究は、これまでにあまり取り上げられなかった、リスク選好の世代間の継承というテーマに取り組んでいる。日本では、数十年間にわたって「貯蓄から投資へ」というキャンペーンが続いている。これは、日本の一般消費者が投資を選好しないことを表している。行動ファイナンスに代表される実験を活用した分野の研究成果により、人々の利益よりも損失を重視する傾向が見出された。もしも、一度被った損失の体験が本人だけにとどまらず、その子供にまで影響を与えるとすれば、上記の傾向が変化しづらいことになる。本研究では、こうしたリスク選好の世代間継承という考え方を、示したものである。
|