本研究では、これまでの実証的な社会科学研究ではほとんど検証されてこなかった、「負の社会ネットワーク」について、社会調査研究のなかでどのように応用可能であるかを検討することが目的である。負のネットワークとは自分自身から見て関係維持を忌避したり、実際に葛藤や衝突が生じたりするような人間関係からなる社会ネットワークを意味している。実証研究への応用可能性を検討するため、本研究では社会調査を実施し、先行研究で用いられてきたポジティブな社会ネットワークとの比較をおこなった。その結果、正負のネットワークが関連し合いながらも独立にメンタルヘルスや生活満足感に影響を与えていることが明らかとなった。
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