研究課題/領域番号 |
18K18594
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
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研究分担者 |
田淵 貴大 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター疫学統計部副部長 (20611809)
大久保 将貴 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (90807835)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 格差・不平等 / 公的統計 / 社会階層 / 健康格差 / 職業格差 / 賃金格差 |
研究実績の概要 |
藤原 (社会・文化的格差担当)は公的統計データを用いて職業的地位尺度を構築し,SSM調査データの分析にその尺度を用いて,世代間移動や社会・文化的な活動の格差について明らかにした.社会経済指標(SEI)と社会的地位指標(SSI)を比較した結果,世代間移動においては同様の関連をしめしつつ,また文化的活動を説明する上では社会的地位指標の予測力が高いことが明らかになった.投稿論文はEuropean Sociological Review誌にアクセプトされた.田淵(健康・医療格差担当)は健康格差,特にタバコや新型タバコに関する研究結果をまとめ,複数の英文雑誌に掲載した.大久保(経済的格差・社会保障担当)はケア労働者の賃金格差について日本と中国を対象とし,ノンパラメトリックな方法(nonparametric stratification index (NSI))を用いて分析行った.この分析の結果については,英語のディスカッション・ペーパーとしてまとめ,報告した.また藤原と大久保はこのようなサンプルサイズの大きな公的統計データから観察されるデータを用い,どのような因果推論が可能かについての検討を行っている.因果推論については『理論と方法』で報告し,また公的統計データを用いた因果推論(特にひとり親の因果効果)については海外学会で報告し,そのフィードバッグをふまえて英語論文としてまとめ,英文雑誌に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国際学術論文への掲載や複数のディスカッション・ペーパーでの報告ができている.また,複数の英文雑誌に投稿し,審査中である.
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今後の研究の推進方策 |
公的統計データの申請やその分析のための研究は整っており,また複数の研究プロジェクトについても進んでいる.コロナウイルスの影響のため研究活動がいくつか制限されてはいるものの,webでの打ち合わせや報告によってフィードバッグを得つつ,英語論文としてまとめ,現代日本社会における格差・不平等の実態についての成果を発信する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外での研究打ち合わせが延期となった.それにともない翻訳や英文校閲についても延期となった.しかし,web会議やチャットシステムを用いて研究打ち合わせは積極的に行っており,そこから派生した分析課題に応じるための解析環境の整備及び英文校閲に使用する.
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