本研究は「学習過程」モデルを国内外のアニメーション・クラウドファンディング事例に応用することによって、「非対面コミュニケーション」における「暗黙知」の共有方法を解明した。研究方法としては博士学位論文にて実証した手法を用いる。データベースに基づいて事例を選び「クリエイター・支援者間のコミュニケーション」「半構造化面接」を収集し、文章分析・パターンマッチング・説明構築という定性的な研究方法で分析を行った。
本研究では、日本のアニメ関連のクラウドファンディングプロジェクトをKickstarterや主要なクラウドファンディングサイトで調査し、米国で13件、日本で12件を選び、支援者コメントのデータスクレイピングを行いました。日米ともにコメント投稿者は全体の5~20%と少数派で、米国ではごく一部の「ハイテンション」な支援者(0.4~2%)が10件以上のコメントを投稿し、全体の17~74%という圧倒的なシェアを獲得していた。コメントのパターンマッチングと参加者への半構造化インタビューから、高強度の支援者は、クラウドファンディングキャンペーンの正当性、特典の内容、アニメ鑑賞(特に吹き替えと字幕を巡る議論)をテーマに交渉を行っていることがわかった。このようなコメントによる公的な交渉は、学習過程における知識の創造に似ていると言えるでしょう。センチメント分析を用いたさらなる研究により、Kickstarterのコメントは参加者にとって二次的な「メタ物語」体験を生み出すことが示されました。
|