研究課題
平成30年度はまず上期に、前述の専門家チームが、福祉作業所に通所するメンバー(障がい者)の個性や創造性から生まれるデザイン、メンバーのバリアを解決する機能について、作業所を訪問して発掘することを実施した。地域の福祉作業所が抱える課題をリストアップし、作業環境や作業方法の問題でメンバーの個性が十分に発揮できていないことが明らかなものを対象として、工程分析を行い作業の改善案を提示すると共に、作業を効率的に行えるような補助具を提案した。またメンバーの個性や創造性を発掘するために視覚的な作業手順マニュアルを提供し、これまで作業が困難と考えられていたメンバーが当該作業を担当できる可能性を示すことができた。下期には本学の京都北部出身の学生が福知山分校に集まり、専門家チームの指導の下にデザインを活用した新たな商品の開発、及びバリアを解決する機能の具現化、すなわち物作りに関わった。商品開発、機能の具現化においては地元企業、作業所職員、メンバーにも参画して貰うため、本学の福知山分校や作業所などで適宜、合同でのワークショップを開催した。今年度の成果としては、京丹後の七姫伝説をモチーフとしたパッケージデザインを実施してそれを作業所の商品に適用し、地域の観光業者にその商品を取り扱ってもらうためのマッチング会を実施した。また福祉作業所のデザイン力をアップするための職員向けのワークショップを数回実施することで、非常に洗練されたデザインの商品が多数誕生した。
2: おおむね順調に進展している
京丹後市の精力的な協力の下で、地域の福祉作業所本学学生の連携が非常にスムースに実施でき、多くの成果を上げることができた。障がい者のバリアから新たなイノベーションを生み出すには至らなかったが、現場での問題の発見、それを改善することによる障がい者の方の新しい働き方の創出、作業所の生産性の向上という一連の流れを具現化することができた。
平成31年度は基本的には前年度のサイクルを踏襲して、自治体と連携しながら地域の福祉作業所と同様の活動を実施すると共に、本研究の効果を医療経済学の専門家により検証を行い、自立に向けた方向性を模索する。そして自治体、地域の大学、地元企業がデザイン、地域経営、人材育成を行いながら、作業所をイノベーション・ハブとして活用し、地域の一つの機能として自立できる社会の実現への道筋をつける。そしてそれら必要な知識を整理して学際的な新たな学問体系を構築する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
サービス学会 第7回国内大会 講演論文集
巻: 7 ページ: B-4-01
Lecture Notes in Computer Science (DHM 2018: Digital Human Modeling. Applications in Health, Safety, Ergonomics, and Risk Management))
巻: 10917 ページ: 75-84
https://doi.org/10.1007/978-3-319-91397-1_7