ヒスタミンを酵素によってアルデヒドに変換することでその変化量を定量値へと導くため、昨年度検討したリン酸緩衝液を用いてのホルマザンの生成量として吸光度をもとに、具体的な調理操作条件を想定した加熱等による変化を調べた。 試行した調理的条件において、電子調理器(オーブン)による250℃の加熱上限において、食材中のヒスタミン量は有意に低下しなかった。同等の条件となる油環境中での加熱(天ぷら等)においても、食材の中央部の温度は120℃程度までしか上がらないこともあり、ヒスタミン量の低下を認めることはできなかった。鉄板上での加熱ではさらに加温が可能ではあるが、焦げる割合が大きいため、調理によってできた料理の嗜好性の観点から油の膜を作らざるを得ないと判断した。そのため加熱は油の温度条件で規定されるため他の加熱条件と大きな差のない結果となった。 その中で、魚焼き器によるガスレンジ上での加熱においては、食材としての魚と魚焼き器の接触が針金の部位に限られることもあり、焦げの割合が少ないため加熱温度を上げることが可能だった。現在一般には市販されていないが、石綿付きの魚焼き器で加熱した条件において、ヒスタミン量の低下を認めることができた。食材の魚においては、無処理と塩添加での差は認められなかったが、食酢につけたもののヒスタミン量の低下は無処理のものよりも大きかった。 嗜好性の観点からは、食酢だけの味付けは実用的ではないため、甘味を加えた食酢で同様の加熱を行ったところ、糖が加わったことで焦げの程度が強くなったものの、食酢のみとほぼ同じ結果を得た。 以上想定される料理法としては、甘酢漬けにして魚焼き器で焼くという調理法があげられる。ただ魚焼き器として石綿付きでない通常の魚焼き器の効果は低く、現状で手に入りにく加熱法であることは、実用性の面から問題を残す形となった。今後さらに実用的な手法を追求していきたい。
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