研究課題/領域番号 |
18K18612
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
小川 寿美子 名桜大学, 人間健康学部, 教授 (20244303)
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研究分担者 |
山里 絹子 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (00635576)
Fewell Norman 名桜大学, 国際学部, 教授 (20577994)
玉城 直美 沖縄キリスト教学院大学, 人文学部, 准教授 (60754322)
金 滋英 名桜大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90795949)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 女性 / 主体的移動 / 島嶼間移動 / 結婚 / リプロダクティブ / 市民活動 / ドメスティックワーカー / グローバル社会 |
研究実績の概要 |
島嶼に生まれ育った女性は、海外移民として見知らぬ土地に移り住むことによって数多くの困難に直面した。例えば、出自が地理的に隔絶した土地であるが故の文化的特異性、ホスト社会(移民先)における言語の壁や外部の人間であるが故の既存コミュニティに受容され難いといった排除性、そして女性というジェンダー的視点からみる脆弱性、である。 20世紀初頭、沖縄からハワイなどに移動した女性らは特異な習慣に対する差別を受けた。また既存の日系人コミュニティとの隔たりなどによる、ホスト社会での集団的孤立を経験した。更に女性には男性(夫や父)の呼び寄せ以外の渡航が許されなかったなど、法的に男性に従属しないと女性は身動きが取れなかった。このように島嶼地域から移動した沖縄女性は、既にホスト社会で「三重苦」を背負っていた。 本研究では、20世紀初頭の女性の移動が主体的であったか否かの検討をした。例えば、当時沖縄の女性が海外に移動した理由を公的な記録で調べると「夫の呼び寄せ」や「写真結婚」など男性に従属する記載が殆どであった。しかしその理由は、女性の海外移動は、男性の関与が条件で漸く認められたという、当時の法的な制限があったためであることが研究で明らかとなった。当時の女性初期移民に関する言説が数少なく難航したが、散在する手記、記録(新聞・雑誌)、間接的インタビューを体系化し分析すると、女性移民らの移動の動機は、内に秘めた“非表出型“の主体があったことを思わせる表現を読み取ることができたが、それは当時の女性というマイノリティが成せる最大限の“主体的”行動に値すると考えられた。 本研究の対象とした出自地域(国)は、沖縄、台湾、フィリピン、アイルランドであり、移動先での女性の身分は、順に呼び寄せ(主婦、農業手伝い)、留学生、ドメスティックワーカー、軍属婦人などであった。
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