研究課題/領域番号 |
18K18615
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川田 学 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80403765)
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研究分担者 |
吉川 和幸 帝京科学大学, 教育人間科学部, 准教授 (30528188)
榊 ひとみ 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (30757498)
長津 詩織 名寄市立大学, 保健福祉学部, 講師 (40553491)
美馬 正和 北海道文教大学, 人間科学部, 講師 (40738374)
高橋 真由美 藤女子大学, 人間生活学部, 教授 (50405643)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 子ども理解 / 保育 / 地域 / 保育者養成 / 生活史 / 子育て支援 / 親理解 / キリスト教保育 |
研究実績の概要 |
研究3年次となる2020年度は、新型コロナウィルス感染拡大により計画していたほぼすべての現地調査を断念せざるを得なかった。そのため、文献検討と論文および学会発表を中心に活動した。各研究課題に沿って、以下の研究実績があった。 (1)倉橋惣三および津守真の文献を子ども理解研究の方法としての観点から検討し、論文としてまとめた。(2)瀬戸内および沖縄の一地域を対象とした調査記録を整理し、地域に初めて保育施設が生まれていく過程において保護者や地域住人にとってその場が持つ意味の形成と変容について検討し、論文にまとめた。(3)キリスト教保育における子ども理解の形成について、文献検討を行うとともに、次年度調査に向けた予備調査をメール等により実施し、更に昨年度のインタビュー・データの分析結果を学会にて発表した。(4)保育者養成校に在籍する学生の幼稚園教育実習での経験と子ども理解に関する学びの関連について、昨年度実施したインタビュー・データの分析を行い論文にまとめた。(5)保育から子育て支援への役割移行に伴う子ども理解の変容については、調査が困難であったため、文献検討を行うにとどまった。(6)北海道東部のへき地保育所での調査データから、少人数異年齢保育と多世代交流事業の実践に焦点を当て、そこに生成する「保育コミュニティ」の実践論理を検討した。(7)北海道において高度経済成長期に保育所を開設した元園長と、同時期に北海道で第2号となる男性保育士として保育を続けてきた方をインフォーマントとしてインタビュー調査を行った。(8)研究代表者による研究業績(『保育的発達論のはじまり』)を批評する研究会を札幌市内で対面、そしてオンラインで全国および海外から200名以上の参加者を得て行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題は、いずれの下位課題も保育現場および対人の調査を基軸として計画されている。新型コロナウィルス感染症による移動・行動制限がほぼ止むことのなかった今年度は、研究代表者および研究分担者の全員の調査活動を停止さぜるを得なかった。メールやオンラインの調査も検討したが、保育現場や地域を実踏し観察しながら調査ができなければ意味をなさない研究課題が多く、また間接的な方法では調査の困難な高齢者のインフォーマントも多く含まれているため困難であった。そうした中、2年間で蓄積してきたデータの分析と文献検討を中心に行い、方法論および理論の面で一定の整理を行うことができた点は成果であった。それを踏まえ、論文刊行と学会発表も複数行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間延長により、4年目となる次年度も、新型コロナウィルスが終息する見込みは薄い。そのため、調査活動は引き続き大きな制約を受けることが予想される。本研究課題は、調査に基づいて地域・時代・個人史における保育者の子ども理解の形成過程の多様性と共通性を探索するところに大きな意義がある。しかし、現実的に調査が困難である以上、文献および史資料の探索を方法とする方向に舵を切らざるを得ないと考えている。少なくとも秋まではこれまで収集したデータと文献・史資料の検討に重心を置き、情勢をにらみながら年度後半にフォローアップの調査が可能であれば計画していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大を受けて研究活動の制約が大きく、計画していた調査旅費等のほとんどを執行することができなかったため、延長申請を行った。次年度も旅費の執行は困難である可能性が高いので、文献や史資料等による研究計画を立案し、研究目的を達成するために有効に執行していく。
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