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2020 年度 実施状況報告書

「持続可能な開発のための教育」としての学びの共同体:日本・インドネシアの比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K18627
研究機関東京大学

研究代表者

草なぎ 佳奈子  東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 助教 (00777873)

研究分担者 北村 友人  東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (30362221)
佐藤 真久  東京都市大学, 環境学部, 教授 (00360800)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2022-03-31
キーワード持続可能な開発のための教育 / 学びの共同体 / インドネシア / 授業研究 / 協働的な学び / 学校改革 / 比較教育学
研究実績の概要

日本で発祥した授業研究は、これまで世界40か国以上で実践されてきた。その中でも2000年頃に日本で生まれた「学びの共同体」の授業研究は、21世紀型の学びの実現を目的とした学校改革として、近年アジアを中心に急速な勢いで広まっている。学びの共同体は、教師たちが学びの専門家として「活動的で協同的で反省的な実践」を行う学校改革を目的としており、ESDの目指す主体的で自己変容を可能とする学びの一つのモデルを提供している。本研究では、学びの共同体の活動・協同・反省の実践をESDの目指す主体的で自己変容を可能とするホリスティックなアプローチとして捉え、日本とインドネシアにおける実践を検証し比較分析を行っている。

2020年3月より海外渡航ならびに国内の長距離移動が困難となり、日本の調査において直接インタビューや授業観察を行うことができなくなった。可能な限りオンラインで調査を行ったが、国内の大多数の教育委員会や学校はオンライン対応になっておらず、限られた教育委員会・学校へのインタビュー調査となった。一方、インドネシアにおいては、現在も大学・学校はオンライン・通信教育が続いており、調査が困難な状況にある。このため、この1年はオンライン学会等での研究交流や発表に限定された。このため、政策・カリキュラム研究に一部をシフトし、ESDと現行のカリキュラム2013の関連について文献調査を行うとともに、ESD実践についてのインタビューを行った。また、コロナ禍の大学・学校において、ESDの目指すアプローチは実感を伴い重要となってきており、インドネシアの大学が主催するオンラインワークショップや学会で発表を行った。そこでは、次世代の学びのあり方と関連したESDとして、学校・教育関係者を対象に予備調査の結果について発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウィルスの影響により、現地調査を行うことが困難となり、計画を変更した。このため、オンラインで活動を継続している日本の地域の学びの会、関東圏で訪問が可能な教育委員会にてインタビュー調査を行った。しかし、学びの共同体の研究大会や、インドネシア授業研究学会もオンラインでの開催となり、現場の教師や大学教員と直接会う機会が著しく制限され、ネットワークを広げることが困難となった。インドネシアについては、学校の活動が1年以上制限されている。またオンラインも通信事情の悪さ、高額さから月に1回にオンライン授業が制限されている。このため、現場の負担にならない範囲で、オンライン研究会や学校を対象とした調査を継続した。当初予定していた全国的なアンケート調査や、大学・学校のネットワーク調査は、インドネシアの大学や学校がオンライン対応に終われ、調整役の引き受けてがおらず、実施できなかった。

今後の研究の推進方策

今年度も現地調査が行える目処は立っておらず、ESDモデルを検証するためのアンケート調査、インタビュー調査を実施し、これまでの収集してきたデータと合わせて分析を進めて行く予定である。以下の枠組みで学びの共同体の実践 をESDの概念・枠組みと照らし合わせ分析を行っていく。
1)全国・地域の学びの共同体ネットワークの整理、2)ESDの実践として学びの共同体がどのような特徴があるのか3)学びの専門家としての実践の意味について。この後、事例比較を通じて両国の学びの共同体の実践において、ESDの枠組みで共通点・文脈依存性があるのか検証してまとめ、ESDの概念・理論的枠組みを構築する。
この内容は報告書・学会発表としてまとめ、現場へフィードバックする。ならびに学術論文を投稿することを目指す。またインドネシア側の研究者たちと共著で学術論文を執筆することで、国際的な共同研究と成果発信も積極的に行っていく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の中、現地調査を行うことができず、予定していた旅費や謝金が支出できなかった。代替案としてオンラインによるアンケート調査やインタビュー調査を計画したが、コロナ禍の対応に追われる学校・大学に余力がないことから2020年度は見送った。

現在インドネシアは大学や学校が閉校の状態から1年が経過し、徐々にオンラインの環境が整ってきた。これまでの調査をとりまとめるため、追加のアンケート調査やオンラインでのインタビュー調査を進める予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] インドネシアにおける総合学習と ESD-総合カリキュラムと環境教育プログラム「アディウィヤタ」の実践-2021

    • 著者名/発表者名
      草彅佳奈子
    • 雑誌名

      教職課程研究年報年報

      巻: 35 ページ: -

  • [雑誌論文] インドネシアの教員コミュニティにおける「教員ストラテジー」に関する考察―ジャワの公立中学校の事例を通して―2020

    • 著者名/発表者名
      草彅佳奈子
    • 雑誌名

      比較教育学研究

      巻: 61 ページ: 120-140

    • 査読あり
  • [学会発表] Transforming Learning and Building a Caring Community in the Pandemic2020

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      The 10th International Conference on Lesson Study
  • [学会発表] Tokkatsu Symposium: Building a Caring Community through Tokkatsu under the COVID-19 pandemic2020

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      The 10th International Conference on Lesson Study、University of Lambung Mangkurat
  • [学会発表] Reconceptualizing Learning in the Disruptive Era」Embracing Change and Transformation of Education, Economics, Business, Management and Accounting in The Disruptive Era2020

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      The 5th Padang International Conference on Education, Economics, Business and Accounting
  • [学会発表] What Will School Look Like Under the New Normal Era2020

    • 著者名/発表者名
      Kanako N. Kusanagi
    • 学会等名
      International Webinar on Education“Leading Change of Education in The New Normal Era
  • [図書] 持続可能な開発における<文化>の居場所-「誰一人取り残さない」開発への応答-2021

    • 著者名/発表者名
      北村友人(共著)
    • 総ページ数
      91-114
    • 出版者
      春風社
  • [図書] Public Policy Innovation for Human Capital Development.2020

    • 著者名/発表者名
      Kitamura, Y. and Brehm, W. (eds.)
    • 総ページ数
      ー
    • 出版者
      Asian Productivity Organization
  • [図書] SDGs時代のESDと社会的レジリエンス2020

    • 著者名/発表者名
      北村友人・佐藤真久・馬奈木俊介
    • 総ページ数
      ー
    • 出版者
      筑波書房

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公開日: 2021-12-27  

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