本研究は、初任教師を指導するメンター育成の理論枠組みを示すことで、初任教師に限定されない教師教育領域における新しい指導観・育成観の構築へのチャレンジと位置づけ、研究を進めてきた。 1~2年目は、学部・院での教育実習・インターンシップにおいてメンター役の附属校教師が実習者の能動的な発達を促す形成的介入を試行し、研究者はその試行過程におけるメンターの指導法の要素を検証し概念化(研究Ⅰ)。及び、研究Ⅱとして行った、都内の公立小学校(A校)の初任者研修の場で、研究Ⅰと同様の試行・検証し、メンターの介入の要素の検証と概念化。また、形成的介入の試行に関わっていない都内2区の公立小学校(83校)のメンターへのアンケート調査で、メンターの指導実態を捉えた。 3~4年目は、メンターの指導力向上プログラムの開発を目指し、研究協力者や教育学の研究者を交えた定期的な研究会で成果の検討をZoomで行った。その上で、研究Ⅰ~Ⅱで得られた結果を基に、初任教師の能動的発達を支援する介入の基本概念を明確にし、初任教師の能動的発達を支援する介入の基本概念を明確にしたメンターの指導力向上プログラム」としてまとめた。 5年目は、研究成果をまとめた論文「Function of Mentoring Leading to the Self-directed Development of Novice Teachers: Mentoring Novice Teachers」を『Open Education Studies』に投稿(現在、審査中)すると共に、お茶の水女子大学から『初任教師の成長・発達を支援するメンターの介入論-能動的な課題解決から生まれる教師エージェンシー‐として』電子出版することが決まった。出版後は、都内の教育委員会及び協力校に届け、教育現場への現場展開を図っていく。
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