平成31年度は、「評価」を含む、中学校技術科で学習する生物育成技術の内容及び順序について以下の研究を行った。 1)生物生産を構成する基礎概念の枠組みへの対応を検討するため、2019年10月に新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター村松ステーションを訪問した。同所の協力を得て、五泉市内の中学3年生を対象とした、技術・家庭科技術分野の「C 生物育成に関する技術」の酪農に関する講義、酪農実習の授業参観を行い、荒木ら(2018)が発表した「動物の飼育」の教育内容例に基づく授業内容の分析を行った。 その結果、収穫段階に関わる生物管理、品質・収量の評価技能について、同実習で使用された酪農教育ファーム副教材「なるほどミルク」に沿った解説と牛乳の品質や貯蔵に関する見学がなされ、「評価」を含む内容で構成されていた。 2)中学校技術科の生物育成の技術で扱われる実習内容に関連した、高等学校農業科「作物」、「野菜」、「草花」および「畜産」の教育内容を高等学校学習指導要領より分析し、生物育成の学習過程にあてはめて分類した。その結果、いずれの科目においても,生物育成の学習過程に沿って配列されていた。加工と消費・利用の方法と、これからの育種と増殖の技術は、他科目で学習するものもみられた。技術科で扱われる生物育成技術としての枠組みを専門教育の4科目の教育内容にあてはめることができ、中学校技術科の指導内容の検討に有用と考えられた。 さらに、森林科学関連科目の学習指導要領の分析と授業参観を行った結果、森林の整備と収穫,木材利用を重視した構成であることが明らかとなった。光合成、遷移、目標林型、ゾーニング、伐採木材製品(HWP)、高性能林業機械,森林認証制度や、品質・収量に関して、幹の形質の状態、取引における材質重視の度合いが示されており、これらは中学校技術科の探求的な学習課題となると考えられた。
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