研究課題
本研究では,(1)算数・数学科において前提追究活動を促進する教材の開発原理を構築すること,(2)開発した教材を小中学校で実践し,その結果を分析することにより,教材の開発原理の有効性を明らかにすることを目的としている。本年度は,まず前提追究活動の意味を,曖昧に示された問題に対してその問題の前提を批判的に見極めることと,問題に自ら条件を設定してその帰結を探究することの二点から特徴付けた。次に,本研究で目指す学習目標として,解答の正誤は問題の前提に依存することの理解,及び前提の明確化によって一つの共通の答えが得られることの理解を設定した。その後,本学の附属小学校及び附属中学校において実践した授業を分析し,教材開発のための示唆を得た。これを受けて,上記の学習目標を達成するための教材を開発し,長野市内の公立小学校第5学年のクラスで実践授業を行った。結果は概ね良好であり,本授業の詳細な分析は次年度に引き続き行う予定である。上述の研究活動と並行して,第11回ヨーロッパ数学教育学会(CERME11, The 11th Congress of European Research in Mathematics Education),及び証明の指導と学習に関する国際研究集会(International Seminar of Research on Teaching and Learning Mathematical Proof)において研究発表を行い,開発した教材の国際的通用性について検討した。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画では,平成30年度に,前提追究活動の概念規定,教材開発,予備調査の実施を行う予定であった。予備調査の分析が残っているものの,当初の予定は概ね達成することができている。
平成31年度は,予備調査の分析,教材開発原理の構築,教材の開発と実践,実践の分析を行う予定である。平成30年度と同様,海外共同研究者との議論や国際学会での研究発表などを継続的に行っていく。
予備調査の分析を次年度にも継続して行うことになり,それに伴う謝金(学生補助)が持ち越しとなったため。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Frontiers in Education
巻: 4 ページ: -
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International Journal of Science and Mathematics Education
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School mathematics curriculum reforms: Challenges, changes and opportunities (ICMI Study 24 conference proceedings)
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