研究課題/領域番号 |
18K18638
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田中 伸 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70508465)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | カルチュラル ・スタディーズ / 文化学習 / 社会科教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本で行われている文化学習の改革を目指すものである。我が国の文化学習は、教科書等に掲載された、「価値があるとされる」文化、文化財、及び文化現象を無批判に理解・受容する実践が多い。これを文化受容学習と呼ぶ。本研究の目的は、第1に文化受容学習の批判的分析、第2に特定文化が「価値あるもの」とみなされる社会的・政治的な文脈の分析、第3に文化受容学習の改革案としての文化研究学習論の開発・実践・検証である。上記3点を通して、文化研究に基づく新しい文化学習論を開発、提案することを目的とするものである。 本年度は、主に第1、第2点目、及び第3点目の一部に取り組んだ。具体的には、カルチュラル・スタディーズの方法論に基づき、社会の中で特定の価値観や思想が一定の見方・考え方を作り出し、それが結果的にラベリングとして作用している実態とその過程を分析、解体する授業を開発し、岐阜県内の中等学校で実践した。また、特定の教科が社会的・文化的・政治的に内在する思想の分析を行い、以下に示した。「市民科とはどのような教科か」『教科とその本質』日本教科教育学会、教育出版、2020。 なお、予定では2月に英国、3月に米国の研究者へのインタビュー調査、及び中等学校で実地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの蔓延に伴い、調査を全てキャンセルしたため、英国・米国の学校で実施されている文化学習の実態の分析については次年度へ移行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究の分析、及び日本国内での実験授業の開発、実践は順調に進んでいる。予定では2月に英国、3月に米国の研究者へのインタビュー調査、及び中等学校で実地調査を行い、調査結果に基づいた実践を改めて開発・実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルスの蔓延に伴い、調査を全てキャンセルしたため、英国・米国の学校で実施されている文化学習の実態の分析については次年度へ移行した。そのため、米国・英国の実態分析については実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
まず、本年度実施ができなかった欧米諸国で実践されている文化研究に基づく文化学習論(社会科教育論)の調査、分析を早急に行う。その結果に基づき、改めて特定の地域文化を批判的に検証(活用)した文化学習教材を開発・実践し、その効果を検証する。順調に進んだ場合は、調査及び実践結果に基づいて文化学習論をモデル化し、その上で国際会議を開催し、研究成果を学際的に検証する。しかしながら、報告書作成時点(6月中旬)の段階で、英国・米国への出張・調査は依然として自粛制限が行われているため、原則的に許可されていない状況である。したがって、各国政府及び日本国内の社会的状況をみながら、進めてゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定では2月に英国、3月に米国の研究者へのインタビュー調査、及び中等学校で実地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの蔓延に伴い、調査を全てキャンセルしたため、英国・米国の学校で実施されている文化学習の実態の分析については次年度へ移行した。そのため、海外旅費として計上していた予算を次年度へ繰り越した。
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